てんかんについて考える

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 10月は「てんかん月間」です。そこで今回は、長年にわたり「てんかん」の研究を行い、てんかん学の進歩に貢献し続けてきた宮崎大学名誉教授の鶴紀子氏に、てんかんとはどのような病気なのか、話を伺いました。


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てんかんとは

 例えば、私達が物体を「見る」と、目から入った視覚が後頭部の視覚領に伝わって発火し、その信号を認識することで物体を「認知」します。ところが、刺激が発生していない状態で視覚領の神経細胞が興奮すると、視覚発作が発生します。こうした発作は視覚だけに留まらず、異常神経活動が発生する場所ごとに様々な発作が発生し、脳が一斉に興奮した場合は全身性の痙攣を発症します。こうした一過性の発作が生じる病態を「てんかん発作」といい、これらの症状が2回以上反復されると、脳の慢性疾患と言われる「てんかん」が疑われます。てんかんは、乳幼児期から学童期を中心に20代以下で発症する場合(小児てんかん)や、高齢になって初めて発症する方もおり、年齢や性別関係なく誰でも発病する可能性があります。



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症状

鶴 てんかんの症状には、脳全体が一度に発作に見舞われる「全般起始発作」と、脳の一部から始まる「焦点起始発作」と大きく分けて2通りあります。さらに、全般起始発作は運動を伴う運動発作と、非運動発作(欠神発作)に分けられます。

全般運動発作では、全般性強直性間代性発作、いわゆる全身痙攣が代表的です。脳の深い場所から脳全体が一斉に異常興奮に巻き込まれるので、本人は意識を失い、全身の筋肉が痙攣して、体がぎゅっと突っ張った後、がくんがくんと痙攣します。見ている人には非常に長く感じますが、大体40秒程で終わります。非運動発作については、小学校高学年に見られる意識消失のみの「欠神発作」があります。突然意識を失って白目になりますが、10秒程で何事もなかったかのように元に戻ります。

続いて、焦点起始発作は、例えば、既視感(デジャヴュ)だけ、或いはその後短時間で意識と反応性が消失します。口をぺちゃぺちゃさせたり、手をこするような動きへ発展し、これらは全て焦点発作といえます。他にも、一瞬筋肉がピクっとするようなミオクローヌスを伴う場合や、健忘だけ、よだれ、嘔吐、また急にパニックになる患者さんもいます。

てんかん発作の一部では、児童期の一過性の発達途上で、脳の興奮性物質と抑制性物質のアンバランスが認められるために発作を生じると考えられ、2−3年抗てんかん薬を服用し、コントロールしていると、その後治癒の可能性が十分あります。




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診断と治療法

 まずは脳波を記録して異常脳波の有無、そして脳のどこから発生しているのかを検査し、更に脳腫瘍や脳の炎症などに起因していないかをMRI等で確認します。また、発作の様子を撮影した動画があれば、診断に役立ちます。

治療法としては、脳に構造上の問題がある場合は、発作のコントロールが難しいため、脳の中の異常な興奮を示す部位を脳外科的に切除することが最良と考えられます。それ以外の場合は、抗てんかん薬による薬物療法が有用な手段です。



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発作への対応と介助

 危険な場所(道路、階段など)で倒れた場合には、安全な場所に移動して、周囲の危険物を除きます。全身痙攣中には、口に物を入れたりすると受傷の危険がありますので、もし可能なら、顎を持ち上げて、舌を噛まないようにします。また、嘔吐物などが詰まらないように、発作後顔を横向きにすることも勧められます。通常の発作は一過性で、全身痙攣の場合でも1分以内に終わり、1回だけなら問題ありません。繰り返し発作が出現して意識が戻らない場合には、痙攣重積状態と言って生命の危険もありますので、なるべく早く救急外来を受診する必要があります。



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てんかんと新型コロナウイルスについて

 てんかんの方が新型コロナウイルスに感染する可能性は、それ以外の人と頻度は変わりません。もし感染した場合、他のウイルス感染症と同様、症状としての発熱により発作が起きやすくなる可能性もありますので、早めにワクチン接種を受けることをお勧めします。

てんかんは特殊な病気だと思われがちですが、存外身近な病気です。近年は良好な抗てんかん薬も誕生し、寝る前に一回服薬するだけでOKという方もいらっしゃいます。最も肝要なのは、治療を継続することです。きちんと薬を服用し、病気のコントロールが出来ていれば、日常生活にほとんど問題はありません。もちろん完治を目指すこともできますので、まずはてんかんをよく知り、必要以上に病気を恐れず、前向きに生活してほしいと思います。



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