宮崎県木材利用技術センター

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 スギの生産量日本一を誇る宮崎県。その有効な活用策を研究するために建てられたのが都城市にある宮崎県木材利用技術センターだ。今日は宮崎木材利用技術センター所長の飯村豊氏に話を伺った。

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■センター概要

―センター開館の経緯を。

飯村 戦後に植林したスギが伐採の時期を迎えた1990年代、当時の松形県知事は森林や木材利用等に精通しており、林道整備や高性能林業機械の導入などの基盤整備に非常にご尽力頂きました。その頃から、いずれ大量に伐採される木材が市場に出回るようになる時、外材の攻勢を凌いで国産の宮崎スギが売れのるかと不安視されていました。そこで、従来通りの販売を行うのではなく、新しい利用法を県自ら提案しながら販売しなければならないという思いのもと、実用的な研究施設の必要性が高まり、木材利用に関する試験研究、研修・指導、技術の提供等の目的を掲げ、平成13年に開所しました。

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―センターの概要を。

飯村 当センターは敷地面積約3.4㏊で、管理棟、研究棟、材料実験棟、加工実験棟、構造実験棟、総合実験棟がそれぞれ設置されています。建物自体が木造平屋建てで、主要構造だけでなく、内装等にもふんだんに宮崎スギを利用した造りになっています。組織としては、管理部門の他、森林資源の有効利用法を探る材料開発部、宮崎スギの性能試験や加工・利用技術の開発・研究等に取り組む木材加工部、宮崎スギを利用した構造物建築に向けたシステム技術の開発等を行う構法開発部の三部門に分かれています。

■宮崎スギの良さ

―宮崎スギの特徴は。

飯村 スギには①柔らかい②曲がりやすい③軽い④水分が多い、といった特性があり、これまで住宅の梁桁用途にはあまり向かないと考えられてきました。一般的にはアメリカから輸入されたベイマツが使用されていますが、その背景には仕様規定があり、ベイマツはJAS規格の数値が高く、スギは敬遠されがちでした。しかし、両木材を比較して木材の良し悪しを決定するのではなく、マツとスギをそれぞれ絶対評価をすることで、マツにはないスギ独自の良さを活かした利用法を開発していた頃、新たに性能規定化制度が導入されました。これは、「宮崎スギは素晴らしい。」とただ伝えるだけではなく、どの部分がどれだけ優れているかを判断させるために木材の数値化を図るという制度です。最も分かりやすい数値化の例が、世界に市場を持つ車です。私達は、車の購入を通して数字に裏打ちされた安全性を購入しているのです。

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数値化により、住宅建築にも宮崎スギが選択肢に挙げられるようになりましたが、宮崎スギは節が多く、無節の外材を見慣れているユーザーから「梁桁には外材を使う」と言われてきました。しかし、当センターでの実大引張試験や、実大曲げ試験等を見学されると、建築基準の規定値を優に超す強度を目の当たりにし、皆さんとても驚かれ、宮崎スギの良さを実感されます。さらに、当センターには宮崎スギを活用する新技術を利用した30以上もの建築物等の事例があり、皆さんの知る所では、日向市駅舎や木の花ドームがありますが、この他にも、韓国の展示館等の実績があり、大型施設でもスギで出来るという証明に他なりません。

また、建築物以外にも、土木用資材として宮崎スギで造ったガードレールの研究も行っています。柔らかく、衝撃を吸収しやすいというスギの特性を活かし、車が衝突しても破損せず、さらに車を元の走行車線に戻すという、人に優しいガードレールです。

■今後の展望

今後の展望を。

飯村 先述したとおり、マツとは違う、スギ独自の利用技術を完成させることが今後の目標です。宮崎スギの利用を拡大していくためにも、ぜひ多くの方々に宮崎を訪れてもらい、スギが秘めた大きな可能性を肌身で感じてほしいと思います。

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 また、今年度からセンター内に「木構造相談室」を設け、公共建築物等の木造化や内装木質化を促進するための技術支援を行うこととしましたので、利用していただくとありがたいと思います。

宮崎県は全国一位のスギ素材生産量という最大のPRポイントがありますので、スギを他の木材と比較するのではなく、スギの特性を素直に評価し、良いところを活かしながら、全国のスギ利用の手本となるような技術の開発と継承、そして県民全体で宮崎スギの素晴らしさをPRしていくことが、ひいては宮崎の活性化にも繋がるのではないかと思います。

―お忙しい中ありがとうございました。(聞き手・酒井里佳)

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