株式会社ファームテック

| コメント(0) | トラックバック(0)
ファームテック.jpg ウイルスを持たない豚の生産は、「安全・安心で美味しい豚肉」づくりの大前提です。徹底した防疫対策によりSPF豚(特定の病原菌をもたない豚)を生産するのがえびの市の株式会社ファームテックです。今日は株式会社ファームテック代表取締役の西原登氏に色々とお話を伺ってきました。
 
画像-152.jpg

―会社概要を。

西原 弊社は、平成204月に株式会社九州ノーサンファームと日本エンテム株式会社が合併して誕生しました。社内組織としては、養豚部と施設部に大きく分かれており、養豚部は種豚生産を主に、本社所在地のえびの市内にあるえびの種豚場と、鹿児島県伊佐市の大口農場があります。えびの種豚場は敷地面積約38000㎡で約3300頭(その内稼働母豚数330頭)を、大口農場は敷地面積約182000㎡で約15000頭(その内稼働母豚数1500頭)を生産しています。一方、施設部は鹿児島県霧島市の九州支店と、岩手県花巻市の東北支店があります。

―養豚部で生産する豚について。

西原 弊社ではSPF豚を飼育しています。これは「特定の病原菌を持っていない(Specific Pathogen Free)」状態にある豚のことで、日本SPF豚協会によって、マイコプラズマ肺炎・豚赤痢・脳萎縮性鼻炎・オーエスキー病・トキソプラズマ病の疾病がない豚と規定されています。病原菌を持たないということは、治療薬の使用量が削減されるため衛生費が節減できる、また薬剤使用量の激減によって安全性が高まる、そして育成率の改善によって生産性が向上するなど、様々なメリットがあります。こうした種豚の生産・販売を通じて、養豚家の方々の経営コスト軽減と、美味しい豚の生産を目的に、弊社では様々な研究、データ分析を行い、より優れた遺伝子を持つ育種改良に努めています。

SPF豚の生産には厳格な防疫体制が敷かれている。

西原 豚舎全体の水洗・清掃の徹底に始まり、消毒は3日間、乾燥は1週間を要し、さらに豚の移動後は1週間抗生物質を添加します。作業員は毎日、出勤時に車の消毒、農場に入る前に全身の洗浄、そして専用服の着衣後、ようやく入場が許可され、部外者の立ち入りは禁止されています。そのため外部の飼料業者等が搬入する際は、消毒作業後に外部に設置された飼料タンクへの搬入となり、農場への出入りは一切ありません。また、両農場とも完全無菌室のオペ棟を備えており、ここで母豚から子豚を摘出後、滅菌設備を介して輸送箱に直接収容し、専用の自社トラックで全国へ搬送します。これがSPF農場の基本であり、種豚会社である以上、カスタマーに対して病気を持ちこまない、そして持ちこませないのが前提です。現在SPF豚を飼育する農場は全国に200カ所程存在しています。

―農場内には糞尿処理施設も設置されている。

西原 処理水の排出量は豚1頭に対して10㍑と言われており、毎日大量の処理水が排出されます。弊社農場には蒸散施設と浄化槽、汚水処理施設を設置しており、処理水を全て蒸散、あるいは活性汚泥法といわれる微生物を利用した汚水処理によって液状の土壌改良材へと加工し、有機肥料として近隣の田畑への散布を行っています。そのため放流は一切行っておりません。

―施設部について。

画像-154.jpg

西原 施設部は昭和40年頃に設立され、確かな技術力や長年の研究によるノウハウを活かし、畜産農場の給餌・給水設備や床面給温、防疫プログラムなどの飼育施設に始まり、飼料製造プラントやサイロ、汚水処理施設などのエンジニアリング活動、そして畜舎はもちろん、食品・食肉加工施設の建築などの特殊建築を手掛け、豊富な実績を誇ります。現在は、鳥取県で鶏舎16棟、付属棟6棟の大規模鶏舎を建築中で、今年の5月に完成予定です。

―養豚業界を生き抜く為に。

西原 日本の農業、特に畜産業は、TPP問題や食糧自給率問題など、様々な課題に直面しており、現状のまま推移すると先行きが厳しい状況です。その中で、我々養豚業界はどうあるべきかと自身に問う中で、現在、弊社で取り組んでいるのが生産コストの削減です。例えば、世界と比較すると、豚の生体の相場は1kgあたり、デンマークが142円、アメリカが93円、日本が253円といわれ、輸入した豚は非常に安価であり、国産豚の割高感は否めません。そこで、どのように輸入品に対抗してくかと考えた時、"国産豚の生産コストを下げること"が最重要事項であり、それを達成するためには、三つの要素が必要です。まず一つ目が、産子数の増加です。豚は1回の出産時に10頭前後の子豚を産み、年に2.22.4回出産します。この出生頭数を増やすことができれば、餌代や人件費はそのままでコストを下げることが出来ます。二つ目が、飼料効率のアップです。飼料効率とは、家畜が摂取した飼料の量に対して、体重の増加がどれだけあるかを示したものです。例えば、ブロイラーは1.9kgの餌を摂取して体重が1kg増加、牛は810kgの餌で1kg増加、豚は3kgの餌で1kg増加します。この数値を下げること、すなわち飼料効率のアップが叶えば、少量の餌で体重を増加させることができ、1匹から採れる肉量が増加します。そして三つ目が、日本人の舌にあう、食べて美味しい肉を作ることです。やはり、国産豚の美味しさを消費者に知って頂き、そして進んで購入頂く為には美味しい豚肉作りが欠かせません。この3つの要素を達成することで、養豚業の生産コストを削減することが出来ます。弊社ではこれらの実現に向けて、種豚の改良育種を日々行っており、すでに産子数と飼料効率の増加は達成することが出来ました。味に関しては今なお実験の段階ではありますが、完遂に向けて道筋が見えてきたところです。

―そもそもなぜ国産豚はコストが高いのか。

西原 私の考える理由としては、日本の土地は穀物飼料の大量生産に適しておらず、その大部分を海外輸入に依存しているからです。もし、輸入飼料と同量の飼料を国内で調達する場合、余計コストがかさみます。さらにもう一点、日本は海外に比べ、法律が細かく定められていることも原因であると考えています。国内の法律は分野ごとに細かく規定されており、私達の人権を守る素晴らしい基準である一方、製造業にとっては生産コストの増加に繋がる場合もあります。しかし、法の順守は当然のことであり、裏を返せば、法の規定に従った安全な豚肉を生産している証明になります。つまり、食の安全と美味しさを両立するには、相応のコストがかかることはやむを得ない部分ではあるのです。そこで私達養豚業界は、様々な努力を積み重ね、安価な輸入品に対抗すべく生産コストの削減を図り、より安全で美味しい豚肉生産に尽力しているのです。

―最後に今後の展望を。

西原 職員には常に「農場の現場は科学しなければならない」と伝えています。例えば畜舎や豚にとって良い環境とは何か、最適な水や快適な温度・湿度はどれくらいか、どんな餌を与えれば飼料効率が上がるのか、どうすれば生産コストの削減が図れるのか、そして柔らかくて美味しい豚肉を作るためにはどうすればいいのか、日々こうした問いを自身に投げかけ考えることが大切である、と感じているからです。私達の日々の努力が、消費者にとって「美味しい」と目尻を下げてもらえるような豚肉作りに繋がり、日本の食生活の一部を担っているという誇りへと繋がります。これからも納得できる国産の安全で美味しい肉の提供に向けて、絶えず研鑽を重ねていきたいと思います。

ファームテック概要.jpg


Categories

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 株式会社ファームテック

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.blog-journal.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/350

コメントする

2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31