JAこばやし

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こばやし農業協同組合 代表理事組合長 坂下栄次氏に聞く。

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■日本一の宮崎牛

―昨年末に開催された全国和牛能力共進会では素晴らしい成績を収められましたね。

坂下 全国和牛能力共進会は5年に一度開催される、いわば和牛のオリンピックとも言える大会で、畜産農家にとっては各県独自のブランド牛の行く末が左右される非常に重要な大会です。昨年末に長崎県で開催された第10回大会では、メイン会場のハウステンボスに延べ49万人が詰めかけ、会場に入りきらない程の人で溢れかえっていました。その中心部では、各生産者が丹精込めて育てた和牛500頭が並び、多くの人々が見つめる中大会が行われました。宮崎県は、甚大な被害を被った口蹄疫からの復興を掲げ、全国から頂いた激励、ご支援の心に報いるためにも最高の成績をと、生産者一丸となって非常に強い気概で挑んだ結果、県全体で28頭の牛が入賞し、そのうち小林市からは県内最多となる10頭が入賞を果たしました。成績が発表された瞬間は、連覇を目指すプレッシャーや、未だくすぶる口蹄疫への不安、そして全国からの応援を支えとしてそこから這い上がって奮闘してきた日々等が思い返され、全員で涙を流して喜びを分かち合いました。県民の方々の関心も高く、大会後は前大回以上に多くの賛辞やお祝いの言葉を頂き、非常に有り難いことでした。

―県民全員が宮崎牛の大応援団でしたね。

坂下 ここまで地域が一体となって共進会に向かっていったのは初めてのことでした。大会前の激励会には、河野知事や商工会議所の米良会頭も足を運んで下さり、また、大会時には小林市から会場まで往復1000円の応援バスも運行され、地域や県民の皆さまからの温かいご支援を感じながら大会を迎えることができました。

―次の大会に向けての意気込みを。

坂下 全国共進会には各部門県から12頭または1セットしか出品出来ないため、事前に宮崎県畜産共進会が開催されるのですが、全国共進会に出場することができる12位の牛だけでなく、3位以下の牛たちも非常に質が良く、頭数制限がなければ、さらに多くの宮崎牛が全国共進会の上位を占めていたのではないかと思います。宮崎県は和牛づくりの技術レベルが高いのはもちろん、県や私達JA、生産者との団結力が非常に強く、ここが他県に負けない宮崎県の素晴らしい特性だと思います。この強みを活かし、次の全国共進会では3連覇、そして全部門制覇を目指して邁進していきたいと思います。

JAこばやしの特性

―畜産に特化していますね。

坂下 当組合全体の生産の内、畜産が占める割合は75%と非常に高く、特に繁殖牛の生産戸数が多数を占めます。しかし、畜産から多くの利益を享受する一方でリスクが集中するという側面もあり、その最たる例が口蹄疫等の災禍です。二度と同じ過ちを繰り返さないためにも、現在も農場の徹底消毒はもちろん、本所や統轄支所への消毒設備の設置や、消石灰の無償配布等を行っています。今なお予断が許されない防疫対策は、昨年同様、今年も気を引き締めて行っていきたいと思います。

―一方で土物や園芸も盛んですね。

坂下 当地域は、多くの原生林からなる大自然の中で美味しい水や、肥沃な土壌など、農業に適した環境が揃う純農村地帯です。先述した畜産を主軸に、里芋、ごぼう等の土物や、「めろめろメロン」の愛称で親しまれるメロン、マンゴー等の施設園芸が盛んに取り組まれており「この地域で生産できない農産物はない」と言われるほど、多数の農作物が生産されています。しかし、燃油や農業資材の高止まり、生産者の高齢化など、農業を取り巻く環境は一層厳しさを増す中、恵まれた自然環境を活かすべく、生産から加工、販売までを一貫して行う6次産業化に向けた舵取りを行っています。このモデルケースとも言えるのが、高原町にある農産物直売所「杜の穂倉」です。ここでは、うどんや味噌、米などを自分達で生産し、価格を決めて直接お客様に販売するという、まさに6次産業化を実践する地域のアンテナショップです。お客様からの評判も非常に良く、こうした取り組みを管内で共有し、今後どんどん支援していきたいと考えています。

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■農業を巡る問題

―農業にはTPP問題など幾多の難問が控えます。

坂下 私達生産者にとって、手間暇かけて生産した農畜産物が消費者の手に届き、「美味しい」「また食べたい」と言って頂けることは何物にも替えがたい喜びであり、それが明日の作業への活力となります。しかしながら先述したとおり、農業を巡る問題は後を絶たず、心血を注いで生産した農畜産物の価格は下落の一途を辿り、農家の継続を子ども達に託すことが憚られるようになってきました。そんな中、国内ではTPP問題が大きく取り沙汰され、私自身、農業を営む者として、その必要性を自らに問うています。先日70億人を突破した世界の人口は今なお増加を続け、21世紀末までには100億人を突破するのではとの見方があります。私達人間が生きていくうえで最も大切なのは"食"であり、人口の増加に伴って食糧が不足していくことは自明のことです。近い将来、世界的に食糧が不足した場合、自国の食糧が不足している状態で他国に食糧を輸出する国はほとんどないでしょう。そうなると、自分達で国の食糧を守らなければなりません。その時もし、TPPによって関税の撤廃やISD条項を始め様々な条件や制限が盛り込まれていれば、自国の農業を守るために、さらに莫大な国家予算が必要になるのは言わずもがなです。前政権は、わが国の地域経済や社会、国のかたちを一変させるTPPへの交渉参加を、情報開示も国民的な議論もないまま、拙速かつ強引なかたちで行おうとしていました。TPP参加の明確な根拠や国家戦略もないまま、交渉参加を自己目的化することは、絶対に認められません。地域経済と雇用の安定、農林水産業の復権、食の安全確保、医療制度の充実は、国家として守るべき基本中の基本であり、国家の根幹である暮らしと生命を危機に陥れるTPP交渉への参加に断固反対します。

 

■今後の展望

―最後に今後の展望を。

坂下 昨年より組合員に唱え続けているのが、土地利用型農業の推進です。就農者の減少と共に放棄地の増加が懸念される中、従来のように生産物を市場に送り、需給バランスにより価格が決定されるという市場流通の販売方法主体では個々の経営への影響が著しく、農業の衰退を加速させる一因になりかねません。そこで発想を切り替え、私達生産者自身が価格を決定できる、市場ニ-ズに対応した契約作物の品目、そして面積の拡大です。契約農場を増やし、必要数を生産するという土地利用型の農業に取り組んでいきたいと考えています。農業は常に自然との共生、そして価格との闘いです。自然との共生が農業の使命であるならば、私達にできることは今まで手を付けられなかった価格面の改革です。もし価格が一定になれば、農場規模の拡大やコストを抑えた農業も可能になり、安定生産の可能な儲かる農業の実現に近づきます。

当組合では以前から「地域共生社会の実現」という目標を掲げており、地域の中に私達の組合があるという意識を職員全員が共有しています。農業の先行きが見通しにくい今こそ、行政、組合員、地域と一丸となって改革に着手し、失敗を恐れずにチャレンジしながら前進していきたいと思います。

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