微生物を利用した有機農法

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 赤々と実ったトマト、艶やかに光るナス。こうした作物の出来を左右するのが、土の中に1グラム中1億個以上も存在する微生物だ。近年この微生物に着目した"有機農法"が宮崎県はもちろん、全国で注目を浴びている。

 そこで今日は、宮崎大学農学部地域農業システム学科教授杉本安寛氏に微生物を利用した有機農法について色々とお話を聞いた。

■微生物の働き

―有機農法とは。

杉本 日本は1961年の農業基本法の制定に基づき、化学肥料や化学合成農薬の使用が奨励され、作業面でも大型農機具の大量投入が行われるなど、農業の近代化が一段と進みました。しかし化学肥料を使用し続けた土壌は劣化が避けられません。本来土壌中に存在する菌やバクテリアなどの微生物は、地面に落ちた落葉や腐敗した木材、動物の糞尿等の有機物を分解し、餌として繁殖していきます。ところが無機質であるものばかりを使い続けていくと、有機物が次第に不足し、土壌中の微生物が減少します。と同時に、植物にとって有害な無機質を好む嫌気性の微生物が繁殖するようになり、植物が病気にかかりやすくなったり、土壌が痩せこけるなどの状況が生まれることもあります。こうした土壌の活動が弱体化しないようにと考案されたのが有機農法です。有機農法は自然の中に存在する天然の有機物や無機物から作られた肥料を使用し、化学肥料に頼らない、自然の生態系を維持しながら作物を生産する方法です。

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―有機農法における微生物の役割とは。

杉本 微生物は地球上の至る所で活動しています。もちろん私たちの身の回りや大気中にも多数存在していますが、微生物が最も活躍するのが土の中です。土壌中には1グラム中1億個以上もの微生物が存在すると言われており、様々な種類の微生物が有効に働く事によって土壌の良し悪しや、農作物の生育状況を大きく左右すると言っても過言ではありません。良い作物づくりのためには、よい土、よい堆肥づくりが欠かせないのです。

 微生物は主に餌である有機物を求めて根の周囲に集まります。これらの微生物は根圏微生物と呼ばれ、植物に有効に作用する有用微生物もいれば、病気などの害をもたらす有害微生物もいます。植物は有用微生物によって分解された有機物を養分として体内に取り込んで成長するため、植物の成長を活発化させる為には微生物の動きを活性化させることが有効であり、そのために有機物を土壌に散布したり、堆肥を使用したりします。堆肥は微生物によって有機物を完全に分解した肥料のことで、現在当研究室では牛糞や鶏糞、みかんの皮等を堆肥にする取り組みを行っております。

 

■研究室での堆肥づくり

―最近良質な堆肥が出来たとか。

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杉本 有機農業を進めるためには、良質堆肥の生産が欠かせません。また、肥料の三大要素であるカリやリンは有限な鉱物資源ですので、いずれ枯渇します。特にリンの生産国は偏っているため、輸入に頼る日本は化学肥料に頼り過ぎると、近い将来食糧生産に支障をきたす可能性があります。そのためにも、家畜排せつ物から良質堆肥を生産する技術や装置が必要となります。

 私は、現在の堆肥舎を改造することによって生牛糞が約2~3か月で、水分25%30&の完熟堆肥になる装置を開発し、特許申請を行っています(特願201159538)。この装置は堆積した堆肥下部からの送風と、発酵により堆肥原料が70~80℃になると発生する蒸気を上部から吸引して乾燥を促進する物で、切り返しや撹拌は必要としません。ほとんど手間がいらず、簡単に使いやすい低水分の牛糞堆肥が出来ます。この装置や堆肥又は市販の優良な有機資材が普及しますと、有機農業も無理せずやれるのではないかと期待しています。

―お忙しい中ありがとうございました。(聞き手・酒井里佳)

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