社団法人宮崎県畜産公社

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子沢山として知られる11代将軍徳川家斉は、乳製品を嗜好し滋養強壮剤としても珍重したなど、古来より、豊富な栄養素により健康維持の妙薬として牛乳は重宝されてきました。戦後は学校給食にも取り入れられ、日本人の体格向上に大きな役割を果たしました。

しかし、昭和の急速な消費拡大期を経て、近年では乳価の下落、産地間競争の激化など酪農を取り巻く経営環境は厳しさを増し、高齢化とも相まって、体力のない小規模農家の離農や廃業が増加し、県内酪農の拠点として近代的酪農経営をリードしてきた宮崎県畜産公社も、収益の悪化により存続が危ぶまれた局面もありました。

今回は、清算の危機を脱し、組織を再編し新体制でスタートした宮崎県畜産公社の山崎政志理事長と甲斐憲一郎常務理事にお話を伺った。

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【組織を刷新し畜産発展へ向けて再スタートを切る】

―昨年、組織を再編し新体制でスタートしましたが、経緯は。

山崎 昭和43年に、社団法人霧島地域酪農開発公社として発足して以来、長い歴史をもつ宮崎県畜産公社ですが、県内の酪農家が減少するなかで預託牛も少なくなり、収支が伴わなくなり赤字が累積するようになりました。このような実情をふまえ、平成20年度の畜産公社方向性検討委員会では清算に向けた答申が出されました。その後、検討を重ねていくなかで、清算するにしても借地している国有地などを原状回復して返すには、多額な費用がかかるなどの問題点が浮上し、また広大な敷地で恵まれたロケーションですので、「本県畜産の発展のために活用すべき」との意見も出て、21市町村やJA各団体など35会員あった出資会員の再編をおこない、宮崎県、都城市、宮崎県経済連の三者が出資者として残り、役員、職員の体制も刷新し、経済連を運営主体として新生・宮崎県畜産公社として業務を引き継いでいくことになりました。

 

【畜産復興に向けて役割を果たす】

―発足の直後に、口蹄疫禍に襲われましたね。

山崎 牛・豚併せて約29万頭が殺処分されるという大変な被害が発生しました。本県の畜産業が大きく後退し、今後は再生復興に取り組んでいくわけですが、その中で畜産公社の担う役割も多くなったと思っています。昨年10月末には、都城市の助成をうけて新しい牛舎(80頭収容)6棟が完成しました。この施設に被害農家が経営再開できるまで、競り落とした和牛子牛を一時的に預かるなど、(自分の牛舎に入れる前から牛を飼えるのですから)経営再建へ向けて順調なスタートが切れるお手伝いができたと思っています。この中には、茨城県の酪農団体から宮崎の復興を支援したいと申し入れのあった乳牛の子牛25頭も含まれています。また、競りが正常化されていない中、肥育素牛の買い支え対策事業の受け皿ともなりました。

新体制が発足した途端、(口蹄疫禍にあい)大変でしたが、施設を上手く利用することが出来て畜産復興には役立ったのかなと思っています。畜産公社があったからこそ出来たこともありましたね。それなりの評価も頂き感謝しているところです。

 

【乳用後継牛の供給拠点としての位置づけを】

―効率的な酪農経営が求められる中、畜産公社の役割は。

山崎 250ヘクタールの広大な敷地と霧島の山腹に位置する環境の良さを活かした、預託育成牧場としての役割がまずあります。広い土地で丈夫で足腰の強い乳牛に育てて種付を行い酪農家に返還するものです。この事業によって各農家は飼養管理の省力化が図れ、負担の軽減になっています。

現在、年間約500頭の乳用後継牛を県内の酪農家が県外、大半は北海道から購入しているのですが、輸送費などの経費が1頭当たり10万円ほど掛かっています。また、長距離輸送や寒暖の差による体調不良で、事故が発生している例も多いことからコストアップ要因、疾病のリスクなど、県内酪農発展の阻害要件となっています。これを解消したい。公社の自家生産による廉価な優良乳用牛の供給事業に取り組み、乳用後継牛の供給拠点基地としての位置づけをしていきたい。また、県内酪農家からも要望の多いところだろうと思っています。

 

【徹底した個体管理で酪農家の期待に応える】

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―これは、甲斐常務理事にお聞きしたいのですが、具体的な管理はどうですか。

甲斐 事業の中心である預託事業については、20日齢とか30日齢の生まれたての子牛を預かるものですから、体力がつくまでの管理をキチンとやるために保育集中施設を作りました。ハッチで11頭の個体管理を徹底させ、咳、下痢などの症状をいち早く発見、治療し、同時に他への伝染も防ぎます。また、寒い時はベストを着せるなどの防寒対策、暑さ対策も始めました。また、預かった牛は出産しないと乳がでませんので、種付け技術の向上と、(他から買ったらたら高いですから)公社で和牛の受精卵を、それも子牛が高く売れるように血統のよいものを採卵して移植しています。また、コンピュータによる発情発見システムを導入し、早期の受精を目指しています。早く子牛が生まれて、早く搾乳できるのですから、有効な農家へのサービスになると思います。細かい点は色々ありますが、元来、酪農家のためにできた施設ですから、広い牧草地や、地の利、環境を活かしてコスト削減に努めれば、その分農家の方々に還元できると思っていますし、私共といたしましては酪農家の方々の期待に応え、「畜産公社が無いと困る」と言って頂けるよう、誠心誠意牛を世話するということに尽きます。そして安心して酪農を営んで頂くため、職員とともに頑張ります。

 

【県内畜産の拠点として地域経済に貢献】

―経済波及効果も高い畜産業ですが、今後の抱負は。

山崎 日本は古来より「瑞穂国」と呼ばれ、美しい国土を形成してきました。豊かな景観、自然環境を守るためにも地域経済を振興し、地域社会を維持する必要があります。酪農家の中には、地域社会のリーダー役を担っている方も多数いらっしゃいます。また、畜産は本県の中心産業ですから、その発展は地域経済に大きな波及効果をもたらします。

宮崎県畜産公社は、恵まれた立地を上手く活用しながら、県内畜産の重要拠点として宮崎の酪農、畜産の発展に貢献していきたいと考えております。

―本日は、お忙しい中ありがとうございました。今後のご活躍をお祈り申し上げます。

 

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副理事長 都城市副市長 野村秀雄氏

当公社(公共育成牧場)は県内酪農家が要求する強健で優良な後継牛の育成・確保に大きく貢献しており、「畜産のまち」を標榜する都城市にとっても重要な畜産拠点施設となっています。

 また、県内酪農家の負担軽減と経営基盤の確立を目的とした優良な乳用後継牛の供給を最大の使命としており、今後もこのことをしっかりと認識しながら事業を展開してまいります。

更に、新たな事業展開として酪農研修生の受け入れや畜産物加工特産品の開発、そして、自然体験型の課外学習活動などの地域貢献事業も考えられ、当公社の公益法人としての役割も果たしてまいります。

昨年は、我が国の食料供給基地を自認する本県の畜産業界にとって激動の1年でした

全国から多くの激励の言葉や義援金を頂き、関係者共々、本県畜産の重要性を強く感じたところです。ここに改めてお礼申し上げます。

新たな年を迎え、「宮崎の畜産」の再生という大きな目標に向かって、当公社も、更なる事業推進に取り組んでまいりたいと思います。

 

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副理事長 宮崎県農政水産部次長 押川延夫氏

宮崎県の酪農振興の中核を担う施設として昭和43年に発足した畜産公社ですが、畜産を取り巻く環境の移り変わりとともに、公社がもつ役割も次第に変化してきました。

以前は安定した経営が行えるという事で後継者も多く、地域農業推進の核ともなっていた酪農ですが、乳価の低下や後継牛の不足などに伴って農家の戸数も減少の一途をたどり、現在も厳しい状況が続いています。こうした中で、酪農振興の中軸となるべく畜産公社に対し、県が期待する所は非常に大きいと言えます。

今後は畜産公社の柱である乳用牛の預託事業と合わせて肉用牛の受精卵事業、肥育事業を展開していきながら、経済連、都城市、宮崎県が協力し合って畜産公社の維持、振興を図り、農家の方々に利益をもたらしていく事が私たちに与えられた責務だと感じています。

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