鼻の日

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「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、歴史は変わっていただろう」というパスカルの言葉は有名ですが、歴史を左右するほどのことはなくても、チョットした鼻づまりや鼻水でも、人生が変わって見えるほど憂鬱なものです。花の香りを嗅ぐ、食べ物を美味しく味わう。そんな当たり前の日常を支えてくれている鼻は、感覚器であると同時に呼吸をするための呼吸器でもある重要な器官です。

87日は、鼻の病気に関する知識や健康管理について啓蒙を行っている「鼻の日」です。今日はそんな「鼻」の気になる疾患について、宮崎大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教授東野哲也氏と、医院直野秀和氏に話を伺ってきました。

【鼻の日について】

―昭和36年に社団法人日本耳鼻咽喉科学会が、鼻の日を制定してから約半世紀になりますね...。

東野 当初は副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症の患者が非常に多く、社会活動や学業に大きな障害を与えていたので、この疾患の早期発見、早期治療を進めることを目的に、87日を鼻の日と制定しました。以来毎年87日には、鼻の疾患に対する啓発活動を全国で展開しています。現在では、副鼻腔炎は軽症化の傾向にありますが、反面、スギ花粉症などのアレルギー性鼻炎の頻度が上昇しており、国民病とまでいわれるようになってきています。そこでスギ花粉がピークを迎える3月初めに、日本耳鼻咽喉科学会宮崎県地方部会主催で、カリーノや宮交シティなどで市民向けに講演や相談会を開催しています。鼻の疾患は耳鼻科の中でも、子どもから大人まで非常に多いのですが、少しでも鼻の病気について理解してもらって治療してもらえるように、これからも啓発活動に積極的に取り組みたいと考えています。

 

【鼻の疾患について】

―実は私も花粉症で困っているのですが...。

直野 そういう方は多いのですよ。また、学校検診をしているとハウスダストやダニアレルギーも特に増えたなと感じています。アレルギー性鼻炎は、鼻の中の粘膜が腫れ、鼻づまりや鼻水、目のかゆみなどが生じます。鼻が詰まることによって睡眠時に無呼吸や口呼吸になり、深く眠ることが出来ず、日中眠くなったり集中力が低下したりします。ハウスダストやダニはアレルギー性鼻炎の原因となり、喘息との合併も多いです。治療法ですが、症状を緩和する薬の服用が主体となります。以前は眠気などの副作用も多くみられたのですが、最近では薬が改良され、副作用も少なくなりました。手術については、日帰りで鼻のレーザー手術を行う病院も増えています。これは、鼻の中にある粘膜をレーザーで焼いて縮めるという治療法で、手術時間も20~30分程度です。この治療法は人によっては年に数回行う必要がありますが、繰り返し行うことにより手術を受ける期間を伸ばしていくことが可能です。また、減感作療法というものもあります。これはアレルギー症状を起こす原因物質(スギ花粉やハウスダストなど)のエキスを、長い時間をかけ少しずつ注射し、体を徐々に慣れさせていく治療法です。さらに、現在アレルギー性鼻炎に対するワクチンの開発が進められており、実用化に向けた研究が行われています。

 

―他には、鼻の病気はどのようなものがあるのでしょうか。

直野 我々が治療を行っている代表的な鼻の病気には、その他に副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症があります。この病気は、鼻の奥の副鼻腔という場所に膿がたまる病気で、細菌感染が主体で起こります。症状は、黄色い鼻水や鼻づまりが起こるなどの他、ポリープができる場合もあり、放っておくと脳や眼に細菌が流入し、髄膜炎や視力障害を起こすこともあり、昔は合併症を起こして亡くなる人も多かったと言われています。治療法としては、軽症であれば内服薬などによる治療が可能です。しかし、症状が進行し薬が効かなくなった場合には手術が必要になります。以前の手術は、歯茎を切って鼻の骨を削りながらポリープを除去するというものでしたが、現在は鼻の内視鏡によって、内部をテレビ画面に映しながら手術を行うのが主流です。その際、鼻は脳や目に接している非常に危険な部位であるため、最近ではナビゲーションシステムを導入し、内視鏡の現在地をテレビ画面のCTMRIと合わせて確認しながら手術を行うことが可能になりました。これにより、以前に比べて負担が軽減された手術が可能になったといえます。内視鏡手術はここ10年位ですし、治療技術も急速に進歩していますので、安心して専門の医師を訪ねてみてくださいね。

また、においがなくなる嗅覚障害という症状は、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などで起こる鼻づまりが原因で発症することが多いとされています。鼻づまりがなくなればにおいも戻りますが、原因が分からない場合もあります。経過が進むにつれて治りにくくなることもあり、急ににおいがしなくなった時などは、早いうちからステロイド点鼻薬の使用やビタミン剤などによる治療が必要となりますので、直ぐに耳鼻咽喉科を受診して下さい。

その他には、先天的に鼻の軟骨が曲がっていて鼻づまりなどを起こす鼻柱隔湾曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)や、鼻の腫瘍などもあります。鼻柱隔湾曲症の場合は、鼻の中央の湾曲した部分の軟骨を切除するという手術を行うことで、鼻の通りを回復することができます。鼻の腫瘍については、繰り返す鼻血のほか、目や歯の痛みなど、鼻以外の部位に症状が出ることが多々ありますので、注意が必要です。

 

【症状の予防法】

―最後にこれら鼻の病気を防ぐための予防法を教えてください。

東野 原疾患や合併症を重症化させないためにも、早期発見・早期治療が大切です。

特に副鼻腔炎などは、風邪や喘息などの気道疾患と合わせて発症することが多く、内科や小児科での治療だけでは鼻の中の重大な疾患を見逃してしまうことがあります。最近、喘息と副鼻腔炎が一連の病態であることが解明され、現在、県内の呼吸器科と耳鼻咽喉科が連携して治療が行えるというシステム作りを進めております。副鼻腔炎の治療で喘息の状態が改善される方も少なくなく、期待が寄せられているところです。

 

―お忙しい中ありがとうございました。今後のご活躍をお祈り申し上げます。(聞き手・酒井里佳)

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