宮崎大学

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平成18年から取り組まれている宮崎大学付属病院の施設改善事業。7ヵ年計画で取り組んできたプロジェクトも今年で5年目を迎える。平成20年に完成した新中央診療棟の増築工事完成から約2年。同大学病院の外来診療棟が、来る2月にいよいよ竣工予定となった。宮崎県唯一の特定機能病院として、県民の命を支えている同病院の新しい施設の概要や、改善された診療体制の内容等、さらには地域における宮崎大学の役割など、多岐にわたって宮崎大学学長の菅沼龍夫氏及び宮崎大学付属病院院長髙崎眞弓氏にお伺いした。

【地域の特色を活かした共同研究を世界に発信】

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―昨年の10月に学長にご就任されたとお聞きしています。重責を担ってご多忙な毎日だと存じますが、地域の活性化の観点からも、地方大学の役割は高まるばかりですね。宮崎大学は「世界を視野に、地域から始めよう」というスローガンを掲げていますが、地域との関係は...。

菅沼 大学の使命として位置づけられているのが、教育・研究・社会貢献の3本柱です。それぞれについて、どれだけ地域の方々のお役に立っているかと云うことが問われてきていると思いますね。

若者たちを高等教育の立場から、地域に貢献できる人材として輩出できるか。また、私たちの研究成果が、社会へ還元され、イノベーションへとつなげることができるかですね。

具体的なお話しをしますと、宮崎県というのは農業を基盤とした地域ですので、農業に関して大きな研究ソースがありますね。この分野で宮崎県と宮大農学部、医学部、工学部を中心として、科学技術振興機構の予算で取り組んだプロジェクトにブルーベリーの研究があります。ブルーベリーの葉の抽出物の中にC型肝炎のウイルスの増殖を抑える成分を発見し、構造決定まで行うことができました。

これは世界的な注目を浴びまして、論文も国際的なジャーナルに発表しています。宮崎から地域の特色を活かした共同研究が世界に発信された一つの良い例であると思います。

さらにその成果を一歩進めて、食品などの実用化に向けた取り組みも進んでいます。

それと太陽光発電。宮崎県や経済産業省、企業さんとの合同プロジェクトとしてスタートしたばかりですが、宮崎県は日照時間など立地条件に恵まれていますので、かなりの成果が期待できると思っています。

他には食糧問題、温暖化への対策など地球規模で対応すべき大きな課題がありますが、本学は、生命科学、環境科学、エネルギー科学に関しての、優れたシーズがありますので、いろいろな展開が図れるのではないかと期待しています。

 

【地域医療の最後の砦としてさらなる拡充を】

―地域との関係でいえば、医学部と付属病院の存在も大きいですね。

菅沼 前身である宮崎医科大学は、1973年に無医大県解消施策である1県1医大の構想の下、県民の皆様方の強い要望もあって設立されたというのはご存じのとおりですが、それから30年以上たちまして3000名以上の卒業生を輩出してきました。そのうち、約800名の卒業生が県内で活躍しています。

地域医療に携わる医師の確保という点からは(医学部の存在は)重要なファクターですね。それと同時に、大学という機関があることによって地域全体の医療レベルも確実に上がったと思っています。

一例を挙げれば周産期医療があります。周産期死亡率が全国ワーストクラスだった宮崎県が今ではトップクラスです。周産期医療のロールモデルとして、「お産をするなら宮崎県で」と云われる位の体制が出来上がっています。これは池ノ上克教授(現・医学部長)が地域の産婦人科の先生方を結集して構築した宮崎県独自の周産期医療ネットワークです。地域との関係で云いますと、スポーツ医学もありますね。宮崎県には、キャンプなどで多数のプロスポーツの選手が来県します。そのときのメディカルチェックから始まりましたが、現在はプロの選手のケアだけでなく一般の方々も対象にして、健康でスポーツを楽しむ市民の方々を医学の面からサポートしようと研究を続けています。また、ドクターだけではなく看護師さんも研修し、専門性の高い看護師を養成し認定証も発行していこうと計画を立てています。付属病院の役割については、地域医療の最後の砦となりますので、しっかりと充実していかなければならないと思います。

 

―今春、外来病棟も完成しますね。

菅沼 2月に竣工しまして、5月から稼働する予定でおります。今まで各階に分散されていたものを3フロアーに集約します。

患者さんの動線を考えた新しいスタイルの外来診療棟になりますので、外来に来られる患者さん方には、非常に便利になるのではないでしょうか。

 

【本腰を入れた対策で医療の充実を目指す】

―地域医療連携室もありますね。

菅沼 現在、地域医療を担う医師不足のため、不安な気持ちでお過ごしの地域の方々も多いことと思います。大学としましても本腰を入れて対策を講じようということで、地域医療を担う医師の養成を担っていく中核として昨年スタートしました。

国の予算の関係もありますが、出来ましたら今年中にも地域医療学講座としてさらに充実させたいと考えております。総合医の養成、レベルアップを自治医大の卒業生の協力などを得ながら図っていく計画です。また、育児などで医療現場から一時的に離れた女性医師の再研修もミッションの一つとしております。地域医療を担う人材を育てて、一次医療、二次医療、三次医療の相互協力、連携を図ることが医療を充実させる要ですから、大事な役割だと考えています。

 

【グローバルな視点を持った人材を養成】

―地域医療の充実は、地域間競争のポイントにもなるのでは。

菅沼 安心して住めると云うことは大事でしょうね。宮崎県は気候もいいし、食べ物も美味しいですし、安心してお産もできますから、評価は高いのではないですか。只、例え宮崎県に住んでいても世界の情勢と連動していますから、グローバルな視点を持ち続けることは大事ですね。

宮崎大学は、地球規模で自らの方向性を俯瞰できる学生を送り出したいと思っています。

 

―本日は、お忙しい中ありがとうございました。

 




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―新外来診療棟の概要を。

髙崎 現在、宮崎大学医学部附属病院は、総事業費約190億円、工事期間約7年間の計画で平成18年度より病院の再整備を行っております。そして今年222月には、新外来診療棟が完成いたします。こちらは、延べ床面積8650平方メートルの鉄筋コンクリート造3階建てで、1階から3階までのダイナミックな吹き抜けや、患者さんの垂直動線を確保するためにエレベーターやエスカレーターを設置。またミニコンサートなど小イベント等が開催可能なカフェスペースも設ける予定です。

なお、診療科につきましては1階に小児科、放射線科、脳神経外科、産婦人科、2階北ゾーンに内科系、南ゾーンに整形外科、外科系、そして3階北ゾーンに歯科口腔外科、眼科、泌尿器科、南ゾーンに皮膚科、耳鼻咽喉科、麻酔科を配置しています。この改修により、各診療室の患者さんのプライバシー保護に特化した個室・防音の診察室などを計133室完備いたしました。

もう一つの特徴として、総合案内システムの導入があります。これは、患者さん自身が受付機で受付を済ます設備で、自動音声案内や各診療科前等の大型モニターに受付番号・診察室番号・担当医師名・診察順番などの案内が表示され、医師の呼び込み操作(電子カルテ)により、大型モニターおよび各診療室入口の小型モニターに呼び込み案内が表示されるものです。

外来患者さんから良くお聞きする声として「どの診察室に行けば良いのか分らない」「来院から支払いまで待ち時間なくスムーズにいきたい」といったものがあり、この現状を改善すべく、総合案内システムの導入に至りました。これにより、分りやすい動線を確保し、円滑な受診を行っていきたいと思います。

 

―今後の抱負は。

髙崎 当院は、特定機能病院として他院からの紹介患者を主体に、重症患者の入院等に特化して診療を行って参りました。そのため、外来患者数は全国42医院ある国立大学病院の中では最も少ないと言えます。ですが、地方の医者不足や医療の高度化により外来患者数は年々増加の一途を辿り、昨年は1800人にも上りました。こういった背景のもと、患者さんの意向や希望を尊重しながら、質の高い医療・最適な医療を提供していくために今回のような診療棟の改修・整備に至る次第となりました。

新外来診療棟完成後は、患者さんが右往左往しないように、診療室の臓器別配置や案内システムの導入など、分かりやすい施設作りを心がけ、プライバシーをきちんと確保しながら診療を行っていきたいと思います。

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