三大学連携事業

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宮崎大学南九州大学東海大学 阿蘇キャンパスが連携した、肉用牛生産の能力向上を目指す取り組みが、文部科学省の「戦略的大学連携支援事業」(質保証特化型)に選出された。今回はその事業の概要や今後の宮崎の畜産業のあるべき姿を宮崎大学農学部長農学研究科長の原田教授に伺った。

【連携事業概要】

―この度、「畜産基地を基盤とした大学間連携による家畜生産に関する実践型統合教育プログラム開発」と銘打った三大学連携事業が文部科学省の戦略的大学連携支援事業に選出されたということですが、どのような事業なのでしょうか。

原田 これは家畜生産現場での衛生管理から畜産物の加工・流通・消費までを総合的に見渡せる人材を養成する新規の実践型統合教育プログラムを開発して、教育システムの充実を図るというものです。東海大学阿蘇キャンパス・南九州大学と宮崎大学が連携し、各大学のノウハウを集結し、若い人材の発掘・養成を目的としています。10年後には、九州だけにとどまらず、アジアをはじめとする世界各国とも交流を図りながら、学生、教員ともに研究、教育面で更に活躍の場を広げていく予定です。

 

―今回選出された質保証特化型とはどういうものですか。

原田 質保証特化型とは、当事業を経て発生する教育の質、成果物の質などを保証するものです。教育に関しては、ビデオ会議方式を用い、当大学にいながらにして他大学の講義を聴くことが可能になる他、学生や教員が県内外の農家に出向き実際の現場から知識を習得する機会を設けるなど、当大学の特色でもある地域フィールドに密着した研究を行いながら、今まで以上に家畜生産に関する知識を深めることで質を上げていきます。成果物の面では、食品の安全性を保証するGAP(適正農業規範)と言う規格があるんですが、その宮崎大学版を作りたいと考えています。GAPとは、農産物の生産において、食品の安全性を確保するため、農業生産の各工程の実施状況と適正な管理手法を示す手引であり、この手引を実践する取組みのことです。つまり、GAPマークがついていれば、安心して食べられるという信用の指針になるんですね。消費者に安心安全な食物を提供していくためにも、教育・成果物両方の質のレベルアップを図っていきます。

 

【これからの畜産業について】

―今後の宮崎の畜産業はどのように変わっていくのでしょうか。

原田 今後は、一農家が数頭の牛を管理するのではなく、数戸で協働して経営を行うことが望まれます。というのも、若い世代は1人で働くということへの執着があまりない為共同経営が受け入れられやいのです。こういったシステムの基盤づくりを行っていくには、農家の安定的な経営を保証していかなければなりません。現在、宮崎県には農家が肥育する繁殖牛(雌牛)が9万数千頭、そして宮崎県家畜改良事業団が管理する種牛(雄牛)が約60頭います。ですが、現在は「安平」など雄牛の持つブランド名ばかりが広がっているのが現状です。子牛への遺伝は父母とも半々に伝わりますので、当然雌牛の存在も大切になります。雌牛の出産サイクルは、8歳で6頭の子牛を産めば、1年1産というサイクルに則り優秀だと言われます。このサイクルに近づけていくことで、農家の計画的な経営が可能になるのです。また、安定経営の為にはそうした繁殖能力による安定と合わせて、肉質の安定も必要になります。平成19年に開催された全国和牛能力共進会では、宮崎牛が農林水産大臣賞を9区分中7区分独占し、いわば最高の宮崎牛を生産した結果だと言えます。もちろんこの結果は大変喜ばしいことですが、私が願う真意は、全体の肉質の平均がもう少し上がるような、良質な宮崎牛を多数生産し、農家の所得を少しでも上げていきたいということです。その為には種牛、繁殖牛両方の質をともに上げていかなければなりません。平均より少し良いものを安定して供給できる、それが私たち専門家の一番の願いですね。

 

―原田教授の考える、今後の宮崎のあるべき姿とはどのようなものでしょうか。

原田 九州は今後確実に食糧基地になっていきます。食料自給率の向上の為に、私たち自身がしっかり地に足をおろして行動していかなければなりません。幸い宮崎には雄大な土地が数多くあります。ですが、実はそのほとんどが遊休地なんです。この土地を、例えば牧草地にして牛を生産すれば、輸入に頼らず粗飼料の自給自足が可能になります。実際、当大学の所有する住吉牧場は、牧草はもちろん、肥育素牛の生産に至るまで100%自給自足でやっています。これだけの遊休地をそのままにせず、そこに汗を落としながら、もっと宮崎県の畜産を活発化させて、中山間地域の活性化にも繋げていくべきだと思います。

 

―本日はお忙しい中ありがとうございました。

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