宮崎森林管理署

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最近、森林のCO2吸収量を売買する仕組みが企業間で着目されている。京都議定書によれば、CO2削減目標6%の内、3.8%を担う日本の森林。その指標を達成するには毎年20haの森林整備が必要だと言われている。しかしその一方で、輸入材の増加による国産材価格の低下や、就林者不足など、日本の森林が抱える多くの問題点が円滑な整備進行を阻んでおり、森林の荒廃を招いているのも事実である。では、この数値を達成するためには一体どうしたら良いのだろうか。今回は宮崎の森林が抱える問題点を中心に、宮崎の森林の今を宮崎森林管理署の笹岡氏に伺った。

―まずは宮崎管理署が管轄する森林の概要を。

笹岡 宮崎森林管理署は宮崎市、小林市の一部(旧須木村)、清武町、野尻町、国富町、綾町の2市4町の国有林47000haを管轄しています。その内6割が、昭和3040年代に植樹した杉を中心とした人工林で、4割がシイやカシ等の常緑広葉樹が茂る天然林です。天然林は生物多様性に富んでおり、宮崎県が誇る綾の照葉樹林には植物848種類、高木は24種類確認されています。

<林業が抱える問題点>

―宮崎の林業が抱える現状を教えてください。

笹岡 林業は現在非常に厳しい状況です。日本の木材自給率が20%程度に落ち込み、更に国産材の価格は過去50年間で最低の水準にまで下落しています。しかし、日本の森林は毎年成長を続けており、その成長量は国内の木材消費量を上回るほどです。この余裕ある国内の木材資源を、今後はもっと有効に利用していかなければなりません。また、全国的に林業従事者が激減していることも大きな問題点です。宮崎県はスギの生産量が日本一ですが、この30年間で林業従事者が3分の1以下になっており、しかもその内60歳以上の高齢者が35%を超える程高齢化が進んでいます。これからの林業を担って行く若者をこの厳しい状況の中でどうやって確保していくのか、その為には作業の仕組みをより効率的に、木材の生産流通コストを下げ、ある程度の収入を得ることが出来る林業を実現していかなければなりません。

<林業の展望>

笹岡 国有林では平成16年度より間伐材を有効活用する大規模需要先へ、定時・定量・定価格で丸太を供給する「安定供給システム販売」に取り組んで参りました。その結果、搬出仕分けの手間やコスト削減が可能になり、製材工場側は大量に受注しても定量の木材が安定的に均一の価格で入手できる等、双方メリットのある取引が可能になりました。

また新たな用途では、今後燃料・エネルギーとしての使用に期待が高まっています。木材のメイン部分は建築用材に、建築用材に向かない部分は紙の原料に、そして紙にも使用できない部分は燃料として使うことで、木材の利用範囲だけでなく、森林の単位面積当たりの収入も増やすことができます。このように木材等のクリーンなエネルギーを使うことは化石燃料の消費を減らし、地球温暖化防止の観点からも重要な手立てとなります。こうした木材利用法はまだ課題もありますが、きっと実現すると考えております。

<笹岡署長からのメッセージ> 

笹岡 大多数の方にとって森林は「ただそこにある」だけの存在であり、森林の果たす機能や役割を実感する機会はとても少ないのではないかと感じます。ですが、森林は木材として利用するだけでなく、水源の涵養や国土の保全、環境の維持など私たちの生活に非常に深い関わりを持ちます。それをご理解いただき、「自分達の森林なんだ。」という意識を皆様に持っていただきたいと思います。

 

<綾の照葉樹林プロジェクト>

 日本の南半分はもともとシイやカシなどの照葉樹林が自然植生でした。しかし文化の発展とともに人々はその木を利用したり、あるいは開発したりして、現在まとまった面積を残すものは全国でもほとんどありません。その中で綾の照葉樹林は約2500haの原生状態を残す日本最大級の規模を誇る大変貴重なものです。そこで、20055月に九州森林管理局・宮崎県・綾町・()日本自然保護協会・てるはの森の会の5者が協定書を取り交わし、官民一体となってこの照葉樹林を保護、復元していこうと「綾の照葉樹林プロジェクト」を発足しました。このプロジェクトでは、スギやヒノキの本数密度を間伐等で落とし、林内に光を多く入れることで、かつての照葉樹林の林相を残す保護樹帯からの天然下種で照葉樹を自然発生させ、この照葉樹が十分育った頃、残るスギやヒノキを全て除去し、元々の照葉樹林に近いものに復元しようとしています。そして豊かな自然を維持するために設定されている森林生態系保護地域などの保護林をつなぎ、世界にも誇れるような照葉樹林に復元させていくことを目的としています。現在少しずつ間伐を進めている最中ですが、天然林を育てるには非常に時間がかかる為、この事業の完成にはおよそ100年は必要だと見込んでおります。

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