寿海酒造協業組合 国府光朗理事長

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 蔵を通る爽やかな風、豊かな大地と深い緑、そして清冽な水の流れ...。田園風景を望む小高い丘に位置する寿海酒造協業組合は、串間市の恵まれた自然環境の中で「品質第一」を理念に掲げ、蔵人たちが最新の設備の中で焼酎造りに精進している。

一方、その焼酎蔵から車で5分。山間にある牛舎で、丸々と太った牛たちが柔和な目をしてのんびりと餌を食んでいる。

一見して関連のなさそうなこの二つの風景は、実は大きな一本の糸で繋がっている。その謎を解くヒントは、牛たちが口にしているミルク状の液体にあるという。

寿海酒造の国府光朗理事長を訪ね、その謎解きと寿海酒造のあらましをお聞きした。

 

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―寿海酒造さんは、県下で初めての協業組合として発足したと、お聞きしていますが...。

国府 それぞれに100年以上の歴史を持つ、串間市内にあった5つの焼酎蔵が協業し、技術を持ち寄って、昭和60年に新しい蔵元として設立しました。製造工場はご覧の通り清閑で、緑豊かな環境の中、敷地1万平方メートル、建屋2千平方メートルの近代的な林間工場です。南九州の文化とも云うべき本格焼酎の真髄を伝えようと、品質第一を理念にして来年で創業25年を迎えます。

 

 ―四半世紀を迎えなんという歴史になりますが、寿海酒造の特徴を一言で云えば...。

国府 串間市は質、量ともに全国でも有数な甘藷の産地ですが、豊穣な大地で育った地場の名産品「ことぶき芋(赤芋)」を原料にした焼酎造りに、いち早く乗り出したことでしょう。赤芋は、「赤いダイヤ」とも形容される高価な食用甘藷です。ほくほくして甘みが強いのが特徴で、ミネラルたっぷりな健康食品としても人気を呼んでいます。

当社ではいち早くこの赤芋の特性に注目し、差別化商品として、赤芋仕込みの「ひむか寿」を商品開発し販路を広げてきました。ソフト、マイルドで都会的な飲み口だと評判で、また柔らかな甘い味わいを持ち香ばしく、女性でも飲みやすい焼酎だとしても脚光を浴びています。最近その好評さゆえに追随してくるメーカーも増えまして、原料の赤芋の調達に苦労する時もある位です(笑)。

今回、数量限定で黒麹仕込みの「赤芋黒麹」を新発売します。これは「赤芋・宮崎紅」の持つ旨味を、黒麹仕込みで十分に引き出した、余韻に残る芳醇な香りと味わいが特徴の逸品です。

もちろん、その他にも黄金千貫を使った「いも美」や麦焼酎など、お好みに合わせてお楽しみいただけるように幅広く銘柄を取りそろえています。

また、すべての銘柄の仕込み水は、工場内に自噴する鯛取山水系の清らかな天然湧水です。

 

 ―リキュールも造っておられるとか?

国府 宮崎特産で全国区の人気商品となった、完熟金柑、完熟マンゴーを使った金柑酒、マンゴー酒と梅酒を造っています。青果用には出荷出来ない規格外のものを使用するのですが、特産品の有効利用になります。いずれも赤芋焼酎仕込みで味わいが深いと好評で、県外へのお土産や贈答品にもよく使われているようです。

地元の農産物を活用した商品開発には、地域振興の観点からも力を注がなければいけないと考え、取り組んできましたが、こうした姿勢が評価されたのか、平成19年に全国の焼酎メーカーとしては一社だけ、農林水産大臣賞を受賞しました。

 

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―おめでとうございます。ところで有限会社チアフルカウズを設立して、畜産業にも進出されたそうですが、どのような経緯で?

国府 正直な話、焼酎カスの処理が、長年の悩みの種だったわけです。平成15年には、1億5千万円もの大金をはたいて処理施設を建設したのですが、思うように稼働しない。仕方なく産廃業者に委託すると年間4千万円もの経費が発生する。経営を圧迫する大問題でした。

或る時、昔は焼酎カスを家畜に餌として与えていたことを思い出し、処分するのではなく牛に食べさせたらどうだろかと、思い立ったのです。 企業が農畜産業に進出するのには、様々な障壁があって一筋縄ではいかなかったのですが、手始めに50頭の経産牛の飼育を始めました。もちろん主な餌は焼酎カスです。周囲からは色々云われましたよ。「素人が手を出せる仕事じゃない」とか、「失敗は目に見えている」とか。

 

 ―結果はいかがでしたか。

 国府 なにせ初めてのことで不安はありましたが、結果は期待以上の成績でした。1頭あたり(1日)五〇・の焼酎カスと、通常の3分の1(約4㎏)の配合飼料を与えて肥育するのですが、肉質は配合飼料だけで育てた場合より優れていました。 なにより事故も無く、病気も少なく育ってくれたことが一番有難かったですね。ストレスも少ないのか、牛舎へ行って(牛の)鳴き声を聞いたことがありません。毛のつやもいいですし、性格も温和でのんびりと柔らかい目をしています。

 ―焼酎はカスまで有益で、捨てるところは無いということですね。

国府 元々が厳選された良質な原料ですからね。焼酎モロミを蒸留した後に残る残渣が焼酎カスとなるのですが、含まれる成分の大部分は原料である甘藷、米、麦などに由来します。数億もの酵母菌体も含まれていますし、バランスのとれた栄養価の高い飼料であることが実証されました。

 この結果に意を強くして、現在は300頭を肥育し、年間およそ600頭の出荷体制となっています。

 

 ―販路は、いかがですか?

国府 肉質の良さと、抗生物質を使わない有機質の餌だけで育った安全性が認められ、首都圏の某大手スーパーに焼酎牛(チアフル・カウズ)のコーナーが設置されるまでに漕ぎつけました。

 

 ―順風満帆ですね。

 国府 これからの課題は、牛舎からでる排泄物を有機堆肥にして畑に戻し、そこで焼酎の原料となる甘藷栽培に乗り出そうと考えております。

 

―完全な循環型経営が構築されますね。

国府 経営基盤を揺るがしかねなかった、焼酎カスの処理対策に端を発したことですが、自然に逆らわない循環型システムに着手したことが、一石三鳥以上の成果をもたらしてくれました。また、エコ社会の構築、自然環境保護の観点からも地域住民の方々、関係団体、行政の方々からも暖かいご支援をいただき、「絶対、成功してください」と激励の言葉をいただいております。

 

―素晴らしい経営モデルが構築できたことは、他の地場産業の方々にとっても大きな参考事例だと思います。本日は、有難うございました。

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