農業生産法人 有限会社四位農園 四位廣文 社長

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四位農園.jpg
  中国製冷凍ギョーザ中毒事件を契機に、食品の安全性が改めて論議されているが、中国産野菜の安全性にいち早く警鐘を鳴らし、輸入野菜に対抗できる低コストで、安全な野菜を国内で作ろうと、規模拡大と合理的な経営に取り組んできた農業生産法人がある。

小林盆地に広がる直営農場120ヘクタールを持つ、農業生産法人 有限会社四位農園 だ。

  ゴボウ、サトイモ、ニンジン、ホウレンソウ、エダマメ、小松菜など20品目以上の露地野菜を、県外の大手スーパー、コンビニ、生協、外食・中食産業、食品メーカーなどに出荷している四位農園だが、今春には、農林水産省主催の第一回国産野菜の生産・利用拡大優良事業者表彰に於いて、生産局長賞と農畜産業振興機構理事長賞を同時受賞し、また、学卒者6名を新たに迎えて従業員数100数名と全国でも屈指の経営規模に成長した。

独自の完熟堆肥を使用している同農園を訪れ、四位廣文社長に農園内を案内していただきながら、お話をお聞きした。

 

 

小林盆地に広がる直営農場.jpg
―国内農業の復権に賭けてこられたような半生ですが、きっかけは。

  四位 高校を卒業後、農水省の試験場で2年間、研修生をしました。その後24歳の時、農産物の集荷業として独立。関西・関東に販路を広げていったのですが、やがて輸入野菜も取り扱うようになり、中国へも視察に行ったのですね。その時、生産過程や輸出時の殺菌の仕方を見聞して「これは、おかしい」と感じました。食の安全性がないがしろにされていると思ったのです。それで、輸入野菜の取り扱いを全てやめて、減農薬・減化学肥料の国産だけでやろうと決心しました。

しかし、(国産野菜は)販売先の求める単価とコスト面で差がありすぎて、栽培を引き受けてくれる農家が少ないのが実情でした。「それなら自分で栽培しよう」と。これがスタートですね。

後は、消費者の方々、取引先の方々のご要望に応えようと、スタッフと力を合わせて必死でやってきただけです。唯、求められる品質は、甘味、食感など未だ無い物が多いのですね(笑)。無いものねだりってことじゃないのでしょうが...。それを、何故できないのか?と適期、適地・適作にこだわりながら、創意工夫を重ねて作っていく。唯、私一人でやったことではなく、社員の協力、ブレーン、行政の助けがあってのことです。

 

 ―それにしても、ネットで検索してみると四位農園さんの枝豆、里芋、ごぼう、ほうれん草などは大人気なのですね。三越のデパ地下で買った四位農園さんの里芋を使った総菜が美味しかったとか、離乳食に安心して使える四位農園さんの枝豆を買ったとか、びっくりするほど多くのブログへの書き込みがありますよ。

 四位 ありがたいことです。評価されることが一番嬉しいですね。特に、雨の日でも黙々と一生懸命働いている社員にとって、自分たちの努力の結実を喜んでくれる方がいるということは、一番の励みになります。

また最近、一次加工のシステムが完成し稼働しました。これはイメージでいうと、農薬・化学肥料を最小限に抑えた畑の真ん中に工場があって、その日に採れた野菜をその場で選別、裁断、水洗、加熱して、食品の機能性を損なわないまま冷凍加工するというものです。

 

 

朝採れ野菜を一次加工.jpg
―朝採れの新鮮野菜を、その場で冷凍して消費者にお届できるのですね。欲しい時に、旬の味を楽しめるのは素晴らしいですね。

 四位 食糧基地として消費者の方々が求めるものを提供しながら、地域全体を強くして、自然の摂理に則った農村文化を次世代にわたって守っていきたいと考えています。

 

と、日焼けした精悍な顔で語る四位だが、将来に向けての布石は着々と打っている。

 

永年作物である茶栽培を手がけて3年。現在30ヘクタールの茶畑を、2年後には50ヘクタールまで拡大する予定だ。その計画の裏には、あまりにも洋風化した飽食の生活から、本来の日本人の食に戻るのではないか?という直感と、高齢者でも働ける茶栽培の利点を活かし、従業員の将来の雇用の確保と、経営の安定を併せて図っている。

また、ブルーベリーの栽培も農業試験場の協力を得て、現在開墾中の広大な農場で手掛けた。これはブルーベリーの持つ食品としての機能性に着目した結果である。

 

四位の視線はぶれない。その目は食品の安全・安心・機能性をまっすぐ捉えている。その為の国内農業の振興と安定だ。

 

「農業で利益を出して拡大していくとなると、それぞれの分野、例えば財務、気象の変化、世界経済の動向など...、最先端をいくつもりで学習しないとついていけないですよ。」

ISO9001につづいて、世界的安全基準といえる食品安全マネジメントシステムISO22000も取得した四位の言葉には、グローバル経済の奔流にもまれながらも、安全で安心できる栄養価の高い食品を食卓に届ける使命を担っている者の決意があるし、経営者としての覚悟の一端も窺われる。

 

 農業経営にとって一番大事なことは?との質問には。

「計数管理です。計数管理をしっかりすることによって無駄が見えてくる。コスト競争力をつける上には大事なことです。中国の安い人件費を使った農業、アメリカの大規模な機械化農業に対抗するには、それなりの努力が必要です。第一、潰れたら何にもならないじゃないですか。それと今度のISO22000取得は勉強になりました。コンサルタントをお願いした先生にもお世話になりなしたが、経営理念の確立、仕事の流れの見直しなど社業全体を再構築する、いい機会でした。」

有能な商社マンと対話しているかのような四位の言葉だが、その背景には、農業の企業化という時代の流れがあるのだろうし、また農業がビッグビジネスとして台頭してくる兆しを感じ取っている者の心構えがあるのだろう。

 

 「農業は永続的な産業。一代で終わるものではない」という四位にとっては、人材の育成が最重要課題だ。

「国内農業には、まだまだやれることが一杯あります。例えば水田の裏作ですね。稲刈り後の遊んでいる田圃に根菜類や麦を植える。問題は、誰がそれをやるか。ということなんです。システムを考えて、担っていく人材さえ育てていけば、この恵まれた自然環境を持つ南九州が、世界の食糧基地として発展を遂げることも夢ではないのです。」

「企業誘致だけでなく、地場の基幹産業である農業を伸ばして雇用を生むのが地元にとっては最善の策でしょう。食料自給率も上がるし...。従事する人たちの中には、逆に都会から移住してくる人も増えるでしょう。自然のリズムに則った産業を育てて、地域社会の文化、伝統を守っていくのは素晴らしいじゃないですか。」

 

 20代で青年の船に乗り東南アジアへ、40代でアメリカ、欧州を遍歴したという四位の目には、グローバル経済の中での国内農業の将来像と、地域社会の姿がしっかりと映っているようだ。

 

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