日本禁煙学会会員 蓑輪一文 医師
たばこが健康に悪影響を与えることは明らかである。毎年世界で300万人が喫煙が原因とみられるがんや心臓病で亡くなっており、このままでは2030年代初頭には喫煙による死亡者が年間1000万人に達するとWHOは警告している。
しかし、世界の喫煙者は約13億人に上り、5人に1人の割合となっているのが実情だ。5月31日の、世界禁煙デーに先立ち「世の中からタバコをなくすのは、戦争をなくすのと同じくらい難しい」と語る、日本禁煙学会会員の蓑輪一文医師にお話をお聞きした。
蓑輪 悪性新生物に対する相対危険度(非喫煙者の発症率もしくは死亡率を1とした時の比率)は、喉頭がんを筆頭に肺がん、口腔・咽頭がん、食道がん、胃がん、膀胱がんなどの発症率・死亡率が高くなり危険とされ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)・肺気腫は喫煙者の10~20%が罹患すると言われています。また、喫煙は血糖を上昇させ、インスリン抵抗性を増強し、糖尿病の発症に関与していると言われていたり、動脈硬化を引き起こし、虚血生心疾患(狭心症、急性心筋梗塞)や脳卒中全型(脳梗塞、脳出血、その他)のリスクも引き上げるとされています。他に、美容にも悪影響を及ぼします。
―禁煙治療とはどの様な治療をするのですか。
準備は「禁煙したい」とまずご自身が決意されることです。ストレスのかかる重要な仕事あるいは宴会などのあまりない3ヶ月間を選択するといいでしょう。
禁煙外来といっても十分に時間を割けない現状もあり、禁煙治療期間に読了していただくことをお勧めしています。
何も使わずに意志だけでの禁煙成功率は10%未満といわれています。ニコチンパッチを併用すると20~30%、禁煙外来などで指導を併用しながら経過を確認しつつ行うと40~60%程度と言われています。またリセット禁煙をうまく併用できるとその成功率は80%にものぼると言われています。私どもでは昨年から併用しており、現在結果を解析中です。
―禁煙専門指導者になったきっかけを教えて下さい。
蓑輪 以前鹿児島で禁煙外来を一緒にやっていた知人から紹介され、条件を満たすだけの禁煙指導歴があったため、とりあえず申請してみました。認定された当初はその肩書きにどの程度の価値があるのかどうかは分かりませんでしたが、今年に入って禁煙外来の取材が2件あり、地道な禁煙外来だけでなくマスメディアを通して広く禁煙についての啓蒙活動の一翼を担えるということが分かりました。
―たばこの煙のない環境にするにはどうすればよいですか?
蓑輪 有史以来人類が気付いたときにはたばこは存在し、広く浸透してしまっており、世の中からたばこをなくすのは、地球上から戦争をなくすのと同じぐらい難しいことと考えています。地道な禁煙啓蒙活動、欧米の様に国を挙げての禁煙キャンペーン、その中で特に重要なのは喫煙に入る前、小学生頃からの禁煙教育だと考えています。
―喫煙者へのお願いは?
蓑輪 喫煙は個人の行為ですので、マナーを守り・人には勧めないで欲しいと思います。また、少しでも禁煙したいといった気持ちがあれば、禁煙外来の門を叩いてみて下さい。
―今から、禁煙をしようと思っている方々へのアドバイスをお願いします。
蓑輪 禁煙成功率に象徴される様に、1回で成功しなくても方法はいろいろありますので、何度でもチャレンジして下さい。また禁煙外来に来られる前に「リセット禁煙のすすめ」(磯村毅著500円)をお試し下さい。これだけで止められた方を何人も知っています。500円で止められたらそれこそ儲けものです。
NPO法人日本禁煙学会認定 禁煙専門指導者
宮崎生協病院 医師 蓑輪 一文
鹿児島大学医学部卒業。2007年4月より宮崎生協病院勤務。
所属学会:日本内科学会会員。日本呼吸器学会会員。
日本環境感染学会ICD。日本禁煙学会会員。
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