農業組合法人 綾豚会 代表理事 押田 明さん

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このところ、夕飯の食材などを選ぶとき、以前に比べて、産地や原材料などを入念にチェックしているという人が増えているのではないだろうか。食の安全性に一層関心が高まっている中、有機農業の町"綾町"で、40年以上に渡り、安心・安全な豚を育てることに情熱を注いでいる、農業組合法人 綾豚会(リョウトンカイ) 代表理事で、()押田畜産代表の押田 明さんにお話を伺った。
綾南川から西へ上がった小高い山の中ほどにある押田さんの豚舎に伺ったとき、ちょうどえさの時間で、元気な豚の鳴き声が響いていた。母豚が50頭ほど、次に母親になる豚(母豚候補)が5頭と、常時60頭前後の雌豚を抱え、出産・出荷を順次繰り返しているが、全体では450頭ほどの豚を常時、飼育している。ここで、次男・長女の2人と一緒に、押田さんは安心・安全で美味しい豚作りに励んでいる。

 

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豚舎に足を踏み入れて、まず驚いたのが、豚の毛艶がいいことと、想像していたより臭いがしないことだった。その辺りから、押田さんに伺ってみた。

 

― 豚舎にみえた方から、毛艶がいいとよく言われますが、別にブラッシングしているわけではなく、栄養状態がよく、病気にかかっていないからです。健康だと消化もいいですから、食べたえさを完全に消化するので、糞も全然臭わないと言う訳はいきませんが、結構臭いは取れますね。健康状態がいいと新陳代謝もよくなります。代謝がいいと、これからの夏場など身体を汚しても、すぐにといっていいほど汚れが落ちやすいですから、これも臭いが抑えられている理由ですね。

 

逆に、調子の悪い豚は、えさを食べなくなりますので、すぐに分ります。

 

毎朝、豚舎の掃除と同時に、豚の健康状態をチェックしますが、熱があるなど、少しでも変化のある豚は、すぐに治療するなど処置します。季節の変わり目など、中には風邪を引く豚もいたりして、この辺りは人間と同じですが、今のところどの豚も健康です。

 

母豚として飼育しているのは、F1という一代雑種で、健康的なピンク色の体色からもわかるように病気などに強く、この豚の子どもたちが肉用豚として出荷・肥育されるんです。

 

18歳から、養豚一筋の押田さん。もともと父親も農業に従事していたが、養豚とは無縁だった。押田さんが、豚の世界へ足を踏み入れたきっかけは何だったのだろう。

 

― 農家の長男として生まれ、進路を考えていたときに、先生からこれからは養豚がいいんじゃないかというアドバイスをもらいました。もともと生き物が好きだったこともあり、 まず埼玉に2年間研修に行きました。でも、やってみると豚の世界はなかなか奥が深くて、2年では終えられず、結局その牧場に8年間いました。 そして、やっぱり小さくてもいいから自分の牧場を持ちたいと、29歳のときに綾町に帰り、山をひとつ買い、養豚を始めました。それから気づけば、もう40年以上です。

 

豚は、多産系ということもあり、ある一面病気との闘いでもあります。それに、私が養豚を始めた頃は、3Kの代名詞ともいわれていました。いわゆる、「きつい・きたない・くさい」ですね。当時を思い返すと、本当にきついこともありました。 でも、せっかく先進地で修行を積んで、知識や技術を身につけてきました。だからこそ、きれいな養豚場、誰がきても、その場で焼肉を楽しめるような、きれいで開かれた養豚場を作りたいと常に思い、やってきました。

 

豚を育てる中で、押田さんのいちばんのこだわりは何だろう。

 

― とにかく美味しい豚肉を作るのはもちろんですが、農家の方が母豚として飼う場合、繁殖成績や、いい子豚を出すように、肉質・繁殖成績の両面でいい結果を出せる豚を作ることに力を注いでいます。

 

宮崎には、はまゆう豚といういい豚がいて、これは素晴らしい豚だと思っています。

 

綾町内の養豚農家さんには、うちの豚が出荷されていますので、そういう意味でも、綾独特の美味しい豚ができないかなと思ってやっています。おかげさまで、今は結構いい豚ができています。 いい豚作りに必要なこと・条件は、まず「えさ」ですね。私たちは自家配合工場を持って、「えさ」にこだわってやっています。

 

生協さんとも取引がありますが、安心・安全面のチェックも厳しいですから、安いものやなんでも使うなどというわけにはいきません。とにかく「えさ」にはこだわっていますね。

それと同時に、元豚としてのいい豚、出荷先の農家さんたちが喜んでくださるような豚を作ること。この条件が揃って、美味しい豚作りにつながります。

 

そして、もうひとつ私たちが目指しているのは、ゆったりとした豚の飼育です。近代農業では、ともすると密飼いになってしまいがちですが、1・に1頭くらいのゆったりしたスペースで飼育・肥育してやることで、ストレスがかからず、発育もよくなります。 また、あまり高たんぱく・高カロリーで育てるのではなく、ある程度抑えて、普通の豚より発育に時間がかかっても、じっくり仕上げていくことを基本にしています。

 

まずは、私のところで母豚となるいい豚を作り、綾町内の農家の皆さんが肥育してくださり、安心・安全で美味しい「綾豚」を多くの皆さんに食べて頂けるのが、何よりの望みですね。

 

押田さんが、代表理事を務める「綾豚会」の役割とは何だろう。

 

― 発足は、もう256年前になりますが、当時、残留農薬や添加剤などが問題になっていました。そこで何とか、そんなものを使わずに、安心・安全で美味しい豚肉を作れないだろうかと6人でスタートしました。 そして、安心・安全にこだわった豚を買ってくれるところはないかと、全国を回りました。安心・安全な豚を作るためには、発育を延ばしたり、えさにこだわりますから、どうしても費用がかかってしまいます。採算を考えると、価格もそれなりになるのですが、自分たちの足でPRしていく中で、生協さんとの取引につながり、もう25年ほどになります。

 

私たち生産者、綾豚会は、消費者の方たちの喜んでくださる顔が見えるような、自信を持って出せる豚を作り、消費者の方たちに「綾豚会」の豚なら間違いないと言っていただける信頼関係を築いていく。同時に、生産者の豚にかける想いを伝えたり、美味しい豚肉料理などの情報を届けるなどの交流を図ることで、生協の組合員さんたちからの評価もいただけるようになったと感じています。

 

おかげさまで、現在会員も増えた「綾豚会」ですが、発足当時のメンバーは今も全員揃っていますし、後継者も育っていますので、ある程度自分たちの目指した理想的な会ができあがったかなと思っています。

 

私たちが「綾豚会」を発足した当初は、若手といわれた20代後半から30歳でした。それが、今では後継者となる自分たちの息子が、その当時の年齢になり、気づけば私たちは世間で言う定年です。

 

今も農業をとりまく状況は大変な時期にありますが、私たちが夢を持って会を発足したように、息子たちや後継者にも夢や情熱を持って、養豚をやっていけるようなシステムなどを構築してバトンタッチするために、もうひと踏ん張りしなくてはいけませんね。

 

輸入肉も多い中でも、旨さ・肉質で外国には負けない国産豚、綾豚を作り、そのよさを更にPRしていきたいと語る押田さんたちの作る「綾豚」は、グリーンコープ、宮崎市の綾直売所、綾町のAコープで購入できる他、福岡・熊本・大分・鹿児島にも出荷。

 

「綾豚の特徴は、脂身が美味しいこと。ある意味、いい脂ができれば美味しい豚になるんです」という押田さんの言葉に、早速、綾豚を購入し、トンカツとしょうが焼きにして食したが、言葉通り、甘くて美味しい肉質と脂身だった。

 

()押田畜産  電話 0985771512  《東諸県郡綾町大字入野12831

農業組合法人 綾(りょう)豚会(とんかい)  電話 0985772912 《東諸県郡綾町大字北俣2096

 

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