医療法人善仁会 宮崎善仁会病院長 中津留邦展先生

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2008年を迎えた。お節にお雑煮の食べ過ぎ、はたまた暮れの忘年会から新年会と飲み続けで、あなたのお腹周りは大丈夫

人知れずお腹をつまんで、メタボを気にしている人も少なくないのでは・・・。

20084月から、メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)の「特定健診」「特定保健指導」制度が実施される。

そこで詳しい内容などについて、医療法人善仁会 宮崎善仁会病院院長の中津留邦展先生に、お話を伺った。

―今年、4月から実施される「特定健診」「特定保健指導」制度とは、どんな制度なのでしょうか

 

メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)という言葉はよく聞かれると思いますが、肥満の中でもお腹の中に溜まる脂肪が、色々な病気の原因になる。そこで、病気そのものの治療・早期発見をする前に、メタボリックシンドロームになるリスクを持っている方がいたら、いち早く介入して、自ら生活習慣を改めて頂き、病気にならないようにしましょうという健診と、それに関わる保健指導のことをいいます。

 

これまでは自由に健診を受けて頂いて、異常値があれば、こうした方がいいですよというアドバイスを受けたと思いますが、4月から実施されるのは、生活習慣を改めなくてはいけない人、リスクを持っている人を探すための健診、そして保健指導。つまり予防的な関与をするための制度と考えて頂けばいいかと思います。

 

―なぜ、この制度がスタートすることになったのでしょうか。

 

今後の少子高齢化と共に、生活習慣病も多くなっているということにありますが、

日本人は太ってきているのか・・・ということでいいますと、男性に関しては、1976年から5年毎のデータをみてみると、全ての年代(20代~70代)で肥満者(BMI数値25以上)の割合が増えており、右肩上がりの肥満化傾向です。女性の場合は、60代、70代では増えていますが、それ以下では若干減ってきています。

なおかつ、50歳以上では男女とも大都市と郡部とで変わらないのですが、20代~40代を比較すると、男女とも郡部というか田舎ほど肥満が増えている傾向にあります。

実際に、東京・大阪・福岡と比較しても、宮崎はBMI指標が一番高くなっています。

 

 


 

※肥満度の指標  BMI(ボディマス指数) = 体重(kg)÷身長(m)²

 

BMI 2530未満 肥満度 1度 / 3035未満 2度 

/ 3540未満 3度 / 40以上 4度 

 

1日どのくらい歩くかを比較しても、東京・大阪・福岡では8000歩台ですが、宮崎は7000歩台と少ないんですね。

 

平成12年に策定された「健康日本21」では、21世紀における国民健康づくり運動として、2010年を目途とした生活習慣病およびその原因となる生活習慣についての、食生活や運動、たばこ、アルコールなど9つの分野毎の、基本方針、現状と目標を設定したのですが、肥満者の割合は、策定時に男性が24.3%、女性が25.2%でした。

目標値は男性15%以下、女性20%以下に対して、中間実績値が男性29.0%と策定時より増えています。女性は24.6%と、若干減ってはいますが、目標には達成には遠い現状です。日常生活の歩数をみても、目標値 男性9200以上、女性8300以上に対し、策定時が、男性8202・女性7282、中間実績では、男性7532・女性6446と、これまた目標に手が届かないどころか、策定時より更に減っているのが現状です。

そこで厚生労働省は、1に運動、2に食事と、食生活より先に運動に重点を置く・生活に取り入れるよう改定しました。

実際、40代~70代までをみると、男性の場合、平均して40代以上の約半数は、メタボ予備軍か、メタボリックシンドロームが強く疑われる結果となっています。

女性も、40代以上の中高年になると、約2割は疑われるか、メタボリックシンドロームだろうといわれています。

 


 

日本におけるメタボリックシンドロームの診断基準

 

ウエスト周囲径(おへその高さで、立位・呼気時に測定した腹囲)

男性  85cm以上   女性   90cm以上

 

内臓肥満に脂質代謝、血圧、血糖の内、2つ以上、異常がある

 

     

―メタボリックシンドロームだと、なぜいけないのでしょうか。

 

メタボリックシンドロームがある人と、無い人を比べてみると、動脈硬化、いわゆる血管が硬くなることで起こる色々な病気、心筋梗塞や狭心症などで亡くなる事故の発生率が、圧倒的にメタボリックシンドロームの方に多いのです。

なおかつ、動脈硬化でコレステロール値が高いと危険ですよと言われるのですが、

最近では複合的なことが更に悪いと言われています。

労働省が以前行った研究調査で、肥満・糖尿病・高血圧があるかどうか、中性脂肪の数値が高いかどうか、この4つで比較したところ、症状が0の人に比べて、3つか4つあると、心臓病の発生率が36倍に跳ね上がることが分りました。

 

複数の病気を個人で持っていることは珍しくはないのですが、その原因として浮かぶのが肥満なんです。単に太っているだけで病気はないという人もいますが、これは約20%。糖尿病・高血圧・高脂血漿のいずれかを持っている人は、約47%。2つ持っている人は28%、3つ持っている人は5%。これをみても半数近くは太っているというだけで、何らかの病気を持っていることになります。

つまり、太るだけでリスクを持つ確率が高くなる訳です。なおかつ、23つと重なると、心臓の病気などが起きやすくなることが分っています。

 

その原因を探っていくと、太ることの中でも、特にお腹の脂肪が溜まるメタボリックシンドロームが問題で、これまで脂肪細胞はエネルギー貯蔵庫と考えられていましたが、最近ではホルモンを分泌する臓器ということが分ってきました。

勿論、ホルモンにもいいもの悪いものがありますが、脂肪細胞が太ると、そこから出てくるのは悪玉のホルモンが多いんです。中でも、糖尿病を引き起こしたり、血液を固まらせたり、血圧を上げる物質が出てくる・・・つまり内臓脂肪の蓄積が問題で、その原因は不適切な生活習慣にあります。

そこで、内臓脂肪が溜まっていてリスクを持っていそうな人を早めに見つけて、問題のある生活習慣に気づいて頂き、それを改めて頂くというのが、この健診・指導制度の目的です。

 

―あらゆる病気の原因となりうるメタボリックシンドローム。病気の早期発見より、更に早い病気予防のための早期発見・指導をすれば、医療費負担も軽くなる・・・これが大きな目標なんでしょうか。

 

理想としてはそうなんですね。ただ、これを義務づけられるのは医療機関ではなく、

医療保険者(区市町村国保・健保組合等)なんです。健診・指導を受けるのは、医療機関でも、健診を行っている業者でもかまいません。保険診療費は下がるかも知れませんが、となると、また新たに他の財源が必要になってくる・・・事業所・団体などは負担が大きくなる部分もあり、単純にお金がかからなくなってくるかどうか、まだ分らないところで賛否両論ある訳です。

 

―健診の対象となる人や、制度の目標設定はどうなっていますか。

 

健診の対象となるのは、40歳以上75歳未満の医療保険加入者(国民健康保険の被保険者・被扶養者)の方です。特定健診は、全ての対象者が受診しなければならない項目(基本的な健診項目)と、医師の判断で受診しなければならない項目(詳細な健診項目)がありますが、特定健診の結果、内臓脂肪の蓄積程度とリスク要因の数から、リスクの高さや年齢に応じた保健指導が行われます。

その結果、平成27年度には、平成20年度と比較して、糖尿病等の生活習慣病の方や予備軍を25%減少させることが、政策目標として掲げられています。

 

―健診・保健指導を受けることも有効でしょうが、普段からできる予防・運動があれば教えてください。

 

安全に無理なくお腹の脂肪を燃やすための10の運動のコツをお教えしましょう。

生活の中でも積極的に身体を使いましょう。

    運動は、有酸素運動と筋トレを上手に組み合わせましょう。

    運動を始めるときは、軽い運動から徐々にアップ。あせって付加を急激に上げると怪我につながります。

    有酸素運動の強さは息が弾む程度で、運動中、笑顔が出る程度にしましょう。息がぜーぜーするような強さでは、かえって脂肪は燃えません。

    筋トレは太もも、腹筋などの大きな筋肉を中心に行いましょう。

    運動量は週に150分を目安にしましょう。毎日でなくても、合計で大丈夫です。

    運動の時間は短くても大丈夫。続けて20分の運動と、15分の運動を4回行っても同じ効果が見込めます。

    毎日の体重測定と、その結果のグラフへの記録や歩数計の利用と結果の記録は、体重減量に効果的です。

    運動だけでの体重減量は難しいので、食事にも気を配りましょう。アルコールも程ほどに。

    体重はすぐ減らなくても、あせりは禁物。やがて減ってきます。運動を始めて1ヶ月たっても体重が全く減らない場合は、食事内容(飲み物を含め)を振り返りましょう。案外とスポーツドリンクが原因のこともあります。

 

制度実施のメリット・デメリットは別にして、メタボを事前に阻止することは重要。

若い頃はいくら食べても太らなかったのに、ほんの少し食べ過ぎたかな・・・と思った瞬間、体重が激増して、なかなか減らない、戻らない。

いくらぼやいても、若い頃のようにはいかないもの。生活習慣を見直して、今一度、自分の健康の危機管理。

1年の目標を立てるなら、年明けの今がいちばん!教えて頂いた10のコツを念頭に、今年こそは3日坊主を返上して、コツコツと・・・「健康」の二文字と笑顔を自分のものにしましょう。

 

 

 

 

 

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