宮崎県男女共同参画センター所長 岩村 洋子さん

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男女共同参画センター.jpg男女共同参画社会基本法が制定されたことを機に女性交流センターの拡充をと平成13年9月にオープンした「宮崎県男女共同参画センター」。男女共同参画社会づくりを目指す拠点として年間を通して様々な社会活動が行われている。所長の岩村さんに男女共同参画社会への思いを自らの体験を通して語っていただいた。

 

今、賑わう「みやざき物産館」の東隣に位置する「男女共同参画センター」では、情報提供、啓発、相談、交流の四つの事業を柱として男女共同参画社会づくりに取り組んでいます。

男女共同参画社会をモチーフにした、今話題の新刊や、専門書、人権などについての約2600冊の図書と300本のビデオの収集や貸し出しも行っている。

男女共同参画に関する新聞のクリッピングや全国の関係団体の情報を収集した資料が並び、学習会や交流のためのスペースとしてどなたでも利用することができます。また、グループ・団体など、たくさんの人が交流活動などに利用できる研修室・交流室も備えられています。印刷機も設置され無料で利用できる。オープンなスペースとその温かいスタッフの雰囲気に常連の利用者も多いようだ。

 

年3回発行の広報誌「ブリリアント」では男女共同参画社会づくりに関する情報発信や県内各地の活動内容などを紹介。

 

啓発事業として、年間50回から60回の講演会や講座を企画運営し好評を得ている。高校生を対象にしたデートDVの講演会や熟年世代向けの夫婦学講座や生き方講座、メディア、チャレンジ講座など多種多様なテーマにスポットを当てて県内各地に出向いている。

 

 

_________ 全国5番目の自殺率の宮崎県__________

 

センターでは一般の人が誰でも相談できる相談室を設置しており、電話や面接で毎日さまざまな相談に応じています。相談室への相談件数は昨年1年間で3500件。相談室の周知活動に力を入れてきたことで相談室の認知度もアップしてきて地道に活動を続けてきた手ごたえをスタッフ一同感じている。

相談には、大きく分けて、「総合相談」、「法律相談」、「こころと生き方相談」がある。

「総合相談」はセンターの女性相談員が離婚問題、心の問題、人間関係、夫婦関係、家庭問題など、色々な相談に対応しています。毎月、一度は女性の弁護士(法律相談)、臨床心理士(心と生き方相談)による専門的な相談日を設けています。「相談は無料で秘密厳守です、一人で悩まず、まずはご相談いただきたいですね、予約を要するものもありますが、話を聞いてもらえるだけで心が落ち着くこともあると思います」と相談の重要性を指摘する。

 

宮崎県は自殺率が高く、昨年は全国で5番目の自殺率。自殺で亡くなった方は去年1年間だけで361人。この数字は宮崎県内のどこかで毎日、一人の方が亡くなっている計算になる。自殺者の7,8割は男性で特に40代50代が多い。自殺の理由として男性の場合は経済問題、生活問題が多いという。男は強くて窮地に陥っても弱音をはかないもの、男は一家の大黒柱と、昔から日本の社会のなかで創られてきた「社会的性別」(ジェンダー)に縛られていることが背景にあるのではないだろうか。「男性だって辛いときは弱音を吐き、誰かに相談し、助けを求める、それが当たり前の社会になって欲しい」と岩村所長。

 

また、平成18年の10月から「女性のチャレンジ支援相談窓口」を開設。これは内閣府が全国で7カ所「女性のチャレンジモデル地域」を指定したが、その一ヶ所として宮崎県も指定されスタートすることに。起業、就職、NPO、社会貢献に関する相談など、とにかく、何かにチャレンジしたい人に、専門相談員が支援機関の紹介やアドバイス、情報の提供等を行っている。

 

 

_____________女性が働く上での「ジェンダー」の壁IMG_7880.jpg

 

「男は仕事、女は家庭」という性別による役割分担意識は根強く残っている。男女共同参画社会づくりのための県民意識調査によると、男女の平等感について、全体的に男性が優遇されていると思う割合が高く、特に「社会通念・慣習・しきたり」では、74、1%の人が「男性優遇」を感じている。所長自らもご自分の体験を振り返り、「働きやすい職場環境や家庭環境などのシステム作りはこれからの時代には必要だ」と強調する。

 

昭和40年に清武町役場に入庁した岩村さん、当時、女性職員は結婚、出産後は退職するのが当たり前とする世の中の風潮。しかし、岩村さんは働き続ける選択をする。仕事が楽しかったし、一人の人間の自立とは、経済的に自立しておくこともとても大切なことだと強く思っていたからだ。長い人生の中でどのような状況となっても自分らしく生きるためには経済的自立は大事なことだと。

そのような思いから女性職員が出産後も働くという前例のなかった職場で継続して働き続けた女性職員第一号として頑張った岩村さん。大きなお腹を抱えて、出産予定日の4,5日前まで出勤し、産後も6週目から職場に復帰した。どこの職場でも前例をつくるのはとても大変なこと。岩村さんも前例のない職場で、先頭を切って結婚、出産、子育てと、その時代を切り開いてきた。「働くのは私の我儘なのだろうかといつも思っていた」と昔を懐かしむ。

 

子供が誕生して喜んだものの身体が弱かった。今ではその当時が信じられないくらい元気に成長されたお子さんだが、産まれて一週間目に手術、結局4歳までに4回の手術をすることに。

妊娠したら退職し家事に専念すべきという周りの声を押し切り、仕事を続ける決断をした自分を正直責めたことも。仕事を止め家事に専念していれば元気な子供が誕生したのかもしれないと、本気で思った辛い時期があったという、また、子どもは三歳までは親がしっかりついていて育てるものという「三歳児神話」に振り回され、心を痛めたことも。「家事も、育児も、仕事も、自分で選んだ道とは言え本当に大変だった」と当時を振り返る。

 

以後、平成14年3月に退職するまで、仕事をするうえで女性であるがゆえのいろいろな疑問を持ち続けてきた。係長になった時、新聞社が取材に訪れた。「女性が係長になったら、ニュースになるのはどうして?」と素直な疑問を持った岩村さん。その後、補佐、課長となっていくが、男性が年功序列で昇格するのは当然のこととして理解されているのに対し女性が昇格すると何か違った目で見られる。同僚の女性職員のなかにさえそういう視線があると気づいたとき、なんとももどかしく、寂しい思いだった。

 

 

__________目に見えないものとの挑戦_________

 

そして、時代は変わり、男女雇用機会均等法・育児休業法など法律は整備され、女性も働きたいと思えば働けられるし、辞めたいと思えば辞められるそんな自由な時代になったと思い込んでいた。

しかし、定年後、一つの講座に出合った岩村さん。「男女共同参画社会とは」というテーマだった。その講座で、未だに、働きたいと思いながらも結婚・出産・子育てを理由に退職せざるを得ない女性たちが沢山いること、また、社会においては政策・方針決定過程への女性の参画がとても少ないこと等を知る。そして、その背景となっているのが長い年月を経て創り出された「社会的性別」(ジェンダー)の存在であり、典型的なものとして「男は仕事、女は家庭」という意識が根強く残っていて、女性と男性の役割を固定化していることを学んだ。

「これまでに私が出合ってきた色々な不平等、たとえば40年も前のことですが、私の職場では女性職員は出産後、退職するのは当然とされていたし、職務分担では女性には補助的な仕事が『適材適所』という名の下に固定化されていて、そのことが政策・決定の場に女性が参画できない原因となり、昇格を阻み、男女間の賃金格差を生みだしていた。また、その一方で家庭においては、家事・育児は女性の仕事と何の疑いもなく思いこんでいたが、全て『社会的性別』(ジェンダー)というものの存在だったのだ」と、それがわかった時、「謎が一度に解けたような気持ちだった」という岩村所長。「自分自身もこれまで『社会的性差』(ジェンダー)に縛られて生きてきたことに気づいた」。

 

「法律は整備されてきているのに、現在もまだ『社会的性別』(ジェンダー)意識が根強く残っていて様々な"不平等"に繋がっていると気づいたことが、今、この『男女共同参画センター』で働くきっかけとなった」と

 

 そして、今、少子化傾向や人口減少、高齢社会は、社会保障制度をはじめ国民生活の根幹を揺るがす問題。長時間労働の解消など働き方の見直しや、仕事を持ちながらでも安心して子供を産み、育てることが可能な環境にするには、ひとり一人が自分の中の「社会的性別」(ジェンダー)に気づき、それに縛られない生き方をすることがとても大切。それが男女共同参画センターが目指している「男女共同参画社会」なのだが、長い間、生活の中に当たり前のこととして刷り込まれてきた意識を、社会や文化によって創られたものなのだと気づき、意識を変えていくのはとても大変な取り組みである。

「やりがいはあるが目に見えないものへの挑戦で難しい。でも、21世紀を切り開いて行くためには必要なこと。継続は力なりだと思います、ゆっくりでもいいから休まずに確実に歩み続けていくことが大切」と力説する岩村所長。

 

「一人でも多くの方にセンターに気軽に遊びにきて欲しい、スタッフ一同でお待ちしています」と笑顔で答えてくださった。

 

 

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