宮崎大学医学部  帖佐 悦男 教授

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フェニックスリーグが終り、プロ野球秋季キャンプ、そしてゴルフマンス開始と、スポーツランド宮崎秋の陣スタートである。そこで、医学の面からスポーツランド宮崎を支える「スポーツメディカルサポートシステム」の構築に取組んでいる宮崎大学医学部 感覚運動医学講座 整形外科学分野の帖佐悦男教授に話を伺った。

国体など宮崎県選手団のスポーツドクターとしても帯同する帖佐教授。自身も監督を務める父の影響で、小学校の頃は野球に熱中したが、肩を壊し投げられなくなり、中学ではサッカーに転向した経験を持つ。
充分に発揮できる力を持ちながら、ケガなどにより断念せざるを得なくなる選手達の悔しさ、辛さがよくわかる。

そこで、スポーツランドを謳う宮崎では、外傷や障害のためにスポーツができない、あるいはできなくなる人をなくしたいと、前任の田島直也教授の時代に開設されたスポーツ外来を通してや宮崎県体育協会、医師会などと協力し取組んできたテーマを、連携融合事業として構築させるべく「スポーツメディカルサポートシステム」を立ち上げた。文部科学省からの予算も下り、今年4月からスタートしている。

その「スポーツメディカルサポートシステム」とは、スポーツキャンプ地のメッカである宮崎の地域特性を活かし、宮崎県と連携して、メディカルチェック、メディカルサポートを行うと共に、豊富なデータを基に、種目特性などにも注目し、障害の病態解明を行い、予防や早期発見に役立てる。更には、地域住民の健康維持や向上にも貢献するというもの。

現在、宮崎県内では、宮崎大学の提唱した「元気eランドみやざき」や「健康福祉ネットワーク(はにわネット)」が整備され、メディカルチェックやメディカルサポートのインターネットを利用したシステム作り、データ解析の準備ができている。
つまり、「元気eランドみやざき」「はにわネット」に加入すれば、誰でも情報を得ることができる。勿論、パスワード発行により個人情報は守られる。

先ずは、このシステムを経由して、大学と保健所や地域の医療機関、学校や実業団等との連携を図る。
ここでどんなことが可能になるかというと、ネットワークに加入することで、例えばプロスポーツや実業団、学生の選手、地域住民がネットワーク上に、自分自身で体重や食事の内容などのデータを書き込み、専門家からのアドバイスを受けたり日々の健康管理をすることができるのだ。

「現在、オリンピック選手などトップアスリートの情報は、国立スポーツ科学センターなどで、キャンプでケガをした場合は、その地域の病院で管理されています。他の施設で見たりすることもできませんし、カルテなどの情報が、一旦手元を離れると何もなくなってしまいます。そうすると、また1から情報を集めなければなりません。日本の良くないところは、よい選手はとりあげますが、故障やケガなどのためリタイアしなければならなくなった選手の原因を検討することは、ほとんどされていません。そうしたデータを解析することで同様の症状に陥ったり、その可能性がある人たちの予防や改善に役立てることで、故障などのためにせっかくの希望や夢をあきらめる子どもや選手たちをなくすことが大切なんです。」と語る帖佐教授。

「私の父がそうだった様に、スポーツをしている親は子供に夢を託すことが多いですよね。マラソンの谷口浩美選手(現沖電気陸上部監督)柔道の井上康生選手や水泳の松田丈志選手のようなトップアスリートに...と夢見る親、子供自身もそうです。幼稚園あるいは小・中学校時代から懸命にスポーツに取組んできたのに、何かが間違っていた為に高校で選手生命が終わってしまう...そんな子供たちを何人もみてきています。
また、子供の頃からのデータを蓄積し、それを比較することでその選手の能力を伸ばすことも可能ですし、その子供に最適なスポーツを見つけたり隠れている資質を引き出すことも可能になるんです。」

運動器の10年の事業として運動器健診が取り上げられており、その一貫として、大学では今年度、小・中学校で学校医による運動器健康診断を全国に先駆けて行い、運動器障害の早期発見を検討し、これを県内に広げ全国のモデル事業にしたいと考えている。スポーツ医学の宮崎方式の構築である。

システムをより効果的なものにするためには、採血をはじめ様々なメディカルチェックに協力してもらいたいと話す帖佐教授。陸上やバスケットボール、野球、ウエイトリフティング等々、スポーツの種目別にチェックし、その特異性を調べてデータ化する。それをフィードバックすることで、早めに病気に気づいたり治療に役立てることができるのだ。
こうしたデータと天性の資質、それに良い指導者に恵まれれば、宮崎がトップアスリートの宝庫となるのも夢ではないかもしれない。
またシステムが確立すれば、スポーツ医学や体育学、医療情報学などの学問的な効果だけでなく、それに関わる理学療法士やトレーナー、指導者、栄養士といった人材育成も必要となり、ひいては雇用の創出にも貢献できる。

シーズン中と違って、比較的時間にも余裕のあるキャンプ中に、データやシステムの整った宮崎で、メディカルチェックやメディカルサポートを受けながら、
調整(回復)できることが広くPRされれば、更なるキャンプ誘致にも大いに貢献できるのである。
そして何より、運動・スポーツを通し、地域住民の健康維持・向上を行い、選手の自己管理や外傷・障害の予防につながり、生涯を通して運動・スポーツを愛好できることになるのだ。
スポーツ選手を広く受け入れている宮崎では、県民も溌溂とスポーツに取り組み楽しんでいる...これこそ真のスポーツランド宮崎のあるべき姿かもしれない。

4月にスタートしたばかりの「スポーツメディカルサポートシステム」来年には組織作りをまとめ、3年で連携を整えたい計画だ。
スポーツ障害の原因究明と共に、診断や治療に必要な機器の開発などのために、広く企業の連携協力も呼びかけている。

「現在、大学ではハンカチ王子こと早稲田大学の斉藤投手やサッカーのベッカム選手が使いベッカムカプセルとして有名になった、血液中の酸素濃度を増加させる高気圧空気チャンバーを設置し、疲労回復の効果を研究中です。
また、来年からメタボリック症候群の特定健診制度が始まりますが、宮崎に来て、先ずメタボリック症候群のチェックをした後、男性ならゴルフを、女性はスポーツクラブでエアロビクスや水泳など好きなスポーツをして、何週間かの滞在でメタボリックを解消しましょうという"メタボ解消ツアー"もできるなと考えているんですが、いいと思いませんか?」

アイディアは次々と生まれてくるが、まとめるのが大変と苦笑いする帖佐教授だが、これまでスポーツランドとして積み重ねてきた実績のある宮崎だからこそ、他県に真似できない産学官が一体となった「スポーツメディカルサポートシステム」の1日も早い確立に期待が寄せられる。

「スポーツメディカルサポートシステム」に協力したい、興味がある企業の方は、宮崎大学医学部感覚運動医学講座 整形外科学分野の帖佐悦男教授へ連絡を。電話:0985-85-0986

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