(株)GAKUONユニティ・フェイス 代表取締役社長 加来 聖子さん 

大都市を中心にしたイベンター会社が多い中で、あくまでも宮崎を拠点に、県内のコンサートはもちろん、九州各県のコンサートやイベントの企画、制作、運営、そして講演会などを手掛ける 通称、「ガクオン」。創立は昭和58年。宮崎の音楽業界の草分け的存在だ。 その女性社長に、2004年から就任している加来代表。宮崎本社と東京支社を行き来しながら、「東京は出稼ぎ感覚」ときっぱり。郷土を愛し、宮崎からの情報発信にこだわる。

地方ビジネスは、集客力が鍵



 宮崎のコンサートと県外との割合は

 宮崎が3,4割といったところ。他は九州各県で展開しています。

 地方でのイベンター業というのは少ないのでは

 社団法人 全国コンサートツアー事業者協会(正会員)に加盟しているイベンターは、全国で60社ぐらいありますが、ほとんどが、都市部に集中していますね。やはり人口の多いところでないとコンサートの集客という面でかなり厳しい状態です。少ない人口の中で、いかにビジネスをやるか、それはもう一本勝負です。いかにお客さんを集客するかが大きなポイントですね。

 毎年、約100本のコンサートやイベントなどを手がけられているとか
 
 現場を動く人間は3人プラス私。社員は会長含めて7人。小さいものを含めて、一日に3現場あることもあるんですよ。社員もよくやってくれているなと思います。一人、一人が一つ一つのノウハウを確実に身につけてやらないと成り立ちません。イベントはまず第一に安全性。そして色々な面に気を配らないといけない。特に夏のイベントなどは、何が起こるかわからないし。今まで、大きな怪我もなくこうしてやってこれたことは本当に有難く感じますね。

 多くのイベンター会社の中で、「ガクオン」の特徴といえば

 独自で企画・制作もやっています。コンサートツアーの流れで仕事を請けるだけではなくて、新しくイベントを一から作っているというのが、同じ業界内の他社よりは多いと思います。たとえば宮崎の「シーガイア楽園音楽祭」、大分の「JUPITER音楽祭」などが具体例ですが。他、九州の各テレビ局や、各エフエム局との周年イベント等も企画・制作しています。

 よく音楽業界は不況という声を耳にしますが、コンサートに関しては

 イベント業界でも確かに動員は減っているのは事実です。コンサートに対する価値観が薄くなってきているような気がします。昔は、年間に出るアーティストも少なかったわけです。だからそんなに無理しなくても、コンサートツアーで来るようなアーティストだったら、ほとんどの人が知っていて、当然チケットも売れた。しかし今は毎日のように新人がデビューしている中で、2000人キャパの大ホールをお客様でいっぱいにするアーティストはごく僅かなんです。
デビュー時、デビュー前から可能性のあるアーティストに関しては一人でも多くのファンを作る為の、プロモーションに力を入れることも私どもの重要な役割です。そういったアーティスト達が、大ホールを埋め尽くす瞬間は喜びもひとしおです。常にベスト10に入っているアーティストでさえ、集客が難しい場合もあるんです。いかにお客様を集客するか、どうやって情報を皆さんに発信するか、とても重要ですね。


生の音楽からパワーを



 コンサートにはどんな思い入れがありますか?

 色々なお金の使い道がありますが、まずは、是非、生のライブを見てもらいたい。生の音楽はそう聴けないですよね。自らそんな機会を作らないと。コンサートには莫大なお金がかかります。単発のコンサートであれば、満杯になっても我々は儲からない。ただ全国でツアーを組んでサポートしていくので採算が取れるわけです。5000円、6000円のコンサートって単に高いと思われがちですが、それだけの価値以上のものがあるのです。
たとえば最高のディナーではないけど、ディナーでは5000円、6000円のものを食べれば、一般的に今日は贅沢をしたなという優越感があるでしょ。でもコンサートにはそれ以上の充実感があると思います。コンサートを料理でたとえるなら、まずメインがあって、アンコールのデザートもあって。コンサートを見終わった後、1週間、1ヶ月とパワーを、そして元気をもらえる、最高のディナーです。体のリラックスもできるし、精神的に癒される。音楽にはそんな力がありますよね。そして、そのアーティストの詩の世界もそうですが、アーティストの生の言葉(トーク)が聴ける。CDでは歌だけですが。アーティストからの生の言葉のメッセージ、そして生のビジュアルと、その影響力は大きいですよね。見る人それぞれに色々なストーリーがあると思いますが、コンサートを見て、聞いて、元気になった。生きる元気をもらった。という声はよく耳にします。


「必ず何とかなる」の精神でチャンスを逃さない



 全国60のコンサート事業者協会に加盟しているイベンター業界の中で、女性の社長はお一人だとか。色々ご苦労もあるでしょうね。

 プライベートな事ですが、大きな病気をしたことですね。31才のときに子宮癌。半年後に、肺炎、そして10年後に脳腫瘍の大手術をしました。さすがに脳腫瘍の手術をした時には、この仕事はもう終わりだなと思いました。その時は、社長になって丁度2年たった時で、いつも男性には負けられないと思っていた。ストレスもたまっていたのかな。女性には厳しい世界だったのかなと弱気になった瞬間もありましたが、くよくよしてもしょうがないので、「暫くお休みを頂こう」という感覚に気持ちを切り替えました。この仕事は、少なくとも半年前にはスケジュールを抑えて常に回っているから、境目がない。常に動いている。だから、普段はなかなかまとまった休みが取れなかったので。しかし意外と休めないものですね。(笑)手術して、退院2週間後にはもう飛行機に乗っていました。でもこの病気を通して、私はすごく恵まれているなと改めて思いましたね。色々な人の助けがあって優秀なお医者さんにも巡り合え、皆さんに温かい言葉を頂きながら、「生かされている」という感覚もあリますね。
この大病をした時も、なんとかなると自分に言い聞かせて乗り越えましたが、仕事もいつも「必ず何とかなる」の精神でやっています。こういった興行の仕事は一つ、一つ、慎重にやらないといけない。しかし慎重すぎると身がもたない。余りに慎重すぎると、チャンスを逃してしまう。チャンスを白と見るか、黒と見るか、やるか、やらないか、その瀬戸際の決心一つでまったく違ってくる。乗るか乗らないか。それを社長になると決めなければならない。責任の重さを感じますね。でも責任を取れるという自信の中でやっています。ちょっとでも自信がないと不安ですから。

 そういった意味で今年6月に大分で行われた、荒川静香、村主章枝他出演、世界最高峰とされるフィギアースケートの祭典、「チャンピオンズ・オン・アイス・2007 ジャパンツアー」を大分で開催したことは大きな決断でしたね

 フィギアースケートの人気は確かに高いですが、それでもこのイベントを九州でというのはまだまだ2年、3年先だと思っていたんです。でもある時、それを今だと直感したんです。お蔭様で、3日間の5公演は大成功に終わりました。

 その開催地が、なぜ福岡でもなく、地方都市、大分だったんですか?

会場のこともあるけれど、3年前にも「a‐nation」という日本最大級の夏のイベントを大分で開催し、大成功しました。その中で良いブレーンができた。大きな事をやるにはうちの会社だけでは無理。どれだけたくさんの協力が得られるか、は大きいですね。本当は、もちろん宮崎に大きな興行を持って来たいですね。色々考えてはいます。

 またこれからは企業との連携を考えているとか

 音楽とファッションとのコラボレーションも図っていきたいですね。最近では「bodyc」という下着の人気のブランドとタイアップして、コンサートを通して、メーカーのPRも行って成功を収めています。タイアップした企業をいかにPRするか。今、何が喜ばれているのか、徹底的にリサーチして、色々な企業と取り組んでいきたいですね。イベンターは今まで、アーティストとお客様の為にあった。でもこれからの時代は、音楽・イベント等を通して、企業の為にもコラボレーションして商品のPRや、企業のイメージアップのお手伝い等を試みていきたいですね。

プロフィール:1964年、宮崎県延岡市生まれの43歳。小学校時代からバレーボールの選手として活躍。宮崎県立、延岡高校卒業後、83年、西日本銀行(現・西日本シティ銀行)に入社。実業団バレーでも活躍。87年、西日本銀行退職後、ガクオンに入社。2004年から代表取締役社長に。

趣味は町を散策すること、人間ウオッチング。コンビニに行っても置いてある商品が気になり、買い物に行っても、お客さんのファッションが気になる。町を歩きながら、時代の風を感じることが好き。プライベートでもなかなか仕事から離れられない。

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